本研究は,生分解性を持つ導電材料を使った積層造形の実現に向けて,超音波を援用した新たな造形手法の確立を目的としている.提案する超音波の援用方法では,材料となる分散液が加振によって粘性が低下し,静止すると粘性が回復するチキソトロピと呼ばれる性質を用いる.まず,対象とする材料の性質を実験的に確認した後,超音波振動による攪拌機であるホモジナイザーを用いて振動を加えながら微量な材料を吐出できる装置を開発し,生分解性を持つ金属フィラーを含む分散液を材料に使って吐出実験を行った.この結果,超音波振動を加えることで高粘度の材料を従来よりも低い圧力で吐出できることを確認し,さらに,3次元積層造形にも成功した.
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