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2013 年度 実施状況報告書

感性価値創出に向けた感動把握支援プロセスのアセスメント研究

研究課題

研究課題/領域番号 25420097
研究種目

基盤研究(C)

研究機関芝浦工業大学

研究代表者

長谷川 浩志  芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (40384028)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード設計工学 / 感性価値創出 / 感動 / アセスメント / V-model / V&V / SD法 / 機能的近赤外光法
研究概要

システムのテクニカルプロセスV-modelに基づき展開した問題解決プロセスに従い,感動把握支援プロセスのアセスメントシステムを構築した.また,V&V (Verification and Validation)の考え方をアセスメントプロセスに導入した.このV-modelは,V字の左上からV字の頂点に向けて,ワールドカフェによる感動に関する要素の抽出,感動品質の選択を経て,アイデア創出に至る.V字の頂点から右上に向けて,感動品質の検証,さらに創出されたアイデアの妥当性確認を行う.本システムのV&Vは,検証を「感動品質が正しく抽出されているかを確認すること」とし,妥当性確認を「創出されたアイデアが被験者自身(顧客自身に相当)にとって感動を与えることができるかを妥当性確認すること」とした.この成果は,日本機械学会第23回設計工学・システム部門講演会にて報告した.
つぎに,構築したアセスメントシステムに従って,感動品質を導出し,感動品質に対する検証を試行した.検証方法は,SD法と機能的近赤外光法(NIRS, Near-Infrared Spectroscopy)を組み合わせた方法を用いた.SD法では,感性ワードを感動分類表から検証対象となる感動品質に適した感動語を抜き出し作成した.アンケートシートは,感性ワードと相対する意味のワードを設定し,5段階評価を用いた.NIRSでは,感動品質から想像されるシーンを頭中に描き,その状態で「ポジティブな期待」が発生するか否かを左前頭前野のOxyHbとDeoxyHbの濃度変化量を計測することで確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請研究に対して,システムのテクニカルプロセスV-modelに基づき展開した問題解決プロセスに従い,感動把握支援プロセスのアセスメントシステムを構築した.この成果は,日本機械学会第23回設計工学・システム部門講演会にて発表を行った.
つぎに,構築したアセスメントシステムに従って,感動品質を導き出し,感動品質に対する検証を試行した.感動品質を抽出するためのワールドカフェは,予備試行を除いて,2回実施した.1回目が学生21人(男性15人,女性6人),2回目が学生13人(男性12人,女性1人)の構成で実施した.抽出された感動品質に対する検証は,SD法と機能的近赤外光法(NIRS, Near-Infrared Spectroscopy)を組み合わせた方法を導入した.このSD法によるアンケートとNIRSによる検証を2回のワールドカフェで得られた感動品質に対して8人の被験者により実施した.また,ワールドカフェで得られた要素から感動品質を抽出する方法に対する検証を,実験計画法を用いて実施した.具体的には,制御因子を感動語(なし,受容的,表出的(正の感情)),時間軸(なし,現在,未来),人間軸(なし,個人,共有)の3水準として,これらの組み合わせに基づいて抽出した感動品質に対して,「モノを手にしたり,体験した時にあなたにとってどのぐらい感動しますか」という5段階のリッカート尺度を使ったアンケートを20人に対して行い,L9直交表を用いて評価を行った.これらの研究活動は,平成25年度計画と概ね同じことから,順調に進展していると考える.なお,この試行結果は,18th International Conference in Knowledge Based and Intelligent Information and Engineering Systemsにて発表予定である.

今後の研究の推進方策

平成26年度は,平成25年度に構築したアセスメントシステムを用いて,感動把握支援プロセスによる感動品質抽出とアセスメントの実施・確認を行う.また,昨年度の研究により調査・研究開発をした発明的問題解決法やQCDを考慮した機能統合手法,技術システムの進化分析,創造的工学設計支援システムを利用することで「ニーズ」の抽出と感動把握支援プロセスを用いた「感動品質」の抽出,「ニーズ」と「感動品質」を組み合わせた「要求」に対する「アイデア」を導き出していく.この過程で用いた感動品質やアイデアに対して構築したアセスメントシステムに従ったV&Vを実施する.この結果を用いて,検証・妥当性確認プロセスの評価手法の問題点確認,列挙,改善を実施する.
平成27年度以降は,感動ストーリーの導入による新支援プロセスの試行とアセスメントを実施する.これは,「感性価値を生活者の感性に働きかけ,その共感を得ることによって,はじめて顕在化する」,「ある考えを一つの感情に結びつけるために人の心に訴える物語を語ること」が,人を動かすために有効であるという点に着目したものである.
新支援プロセスでは,「感動品質」×「方策」=「感動ストーリー」と新たに再定義する.この「感動ストーリー」を,ワールドカフェを通じて抽出するために,新たにShow Me Your ValuesとEmpathy Mapの手法を導入する.得られた「感動ストーリー」と「ニーズ」を品質機能展開表に展開し,矛盾解決を通じてアイデアを創出する.このプロセスの試行,および本申請にて開発したアセスメントプロセスを適用し,新支援プロセスの有用性を確認する.

次年度の研究費の使用計画

ワールドカフェ用の模造紙,マーカー,附箋等一式の購入額が想定よりも少なく済んだことと,データ保存用のLAN接続型ハードディスクを購入しなかったため.
学会旅費の一部に利用することを想定している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 消費者の口コミに着目した技術システムの進化に関する分析2013

    • 著者名/発表者名
      小座野悠・後藤花奈子・高橋俊・長谷川浩志
    • 学会等名
      日本機械学会
    • 発表場所
      第23回設計工学・システム部門講演会, 沖縄県読谷村
    • 年月日
      20131023-20141025
  • [学会発表] 感動把握支援プロセスのアセスメントシステムの開発2013

    • 著者名/発表者名
      内海朱里・竹沢悟史・佐藤彩乃・長谷川浩志
    • 学会等名
      日本機械学会
    • 発表場所
      第23回設計工学・システム部門講演会, 沖縄県読谷村
    • 年月日
      20131023-20131025
  • [学会発表] QCDを考慮した機能統合手法の改良2013

    • 著者名/発表者名
      高橋俊・長谷川浩志
    • 学会等名
      日本機械学会
    • 発表場所
      第23回設計工学・システム部門講演会, 沖縄県読谷村
    • 年月日
      20131023-20131025

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公開日: 2015-05-28  

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