申請研究に対して,本年度は,感動ストーリーの導入による新支援プロセスの改善とアセスメントを実施した.また,掃除機,キックスケータ,さらに,知財活用アイデアコンテスト2016に参加し,「これであなたも憧れの顔に!?」というテーマで調光ミラーを時計に搭載した女性向けの製品を提案した. 感動ストーリーを伴った新支援プロセスの改善では,導入したShow Me Your ValuesとEmpathy Mapを用いた支援手順について検討を行った.両手法の導入は,感動ストーリーを導出するために,自身の感動経験をストーリーとして語るための支援と,顧客の関心を引くための共感を感動ストーリーとしてまとめるための体系的なアプローチである.この検討結果から,感動経験をストーリーとして語り易くするための手順と,Empathy Mapを用いて整理された感動品質と方策から感動ストーリーを導出する手順の明確化が課題として整理された.さらに,1,2行のロングストーリーを感動ストーリーとして展開することの難しさも指摘された. つぎに,感動ストーリーを導入した支援プロセスで得られた製品アイデアに対して,ポジティブな期待を抱くかどうかを左前頭前野の脳活動をNIRSにより計測した.その結果,ポジティブな期待が得られていることがわかった.また,製品アイデアのみを想像する場合と,製品アイデアと感動ストーリーを想像する場合の2通りに対してNIRSを用いた検証を行った.その結果,両ケースに差異がないことがわかった. さらに,感動ストーリーの新たな展開方法として,感動品質を色彩化により抽象化してキャッチコピーを作成し,そのキャッチコピー群から感動ストーリーを導き出す方法を考案した.今後は,この導出方法が新支援システムに対して有効かどうかをV-modelによるV&Vの検証プロセスにて確認していく必要がある.
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