研究課題/領域番号 |
25420098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
落合 成行 東海大学, 工学部, 准教授 (40407995)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 流体軸受 / スピンドルモータ / ロバスト最適設計 / 消費電力 / 空気潤滑 / 軸受トルク / 軸受剛性 |
研究概要 |
本研究課題は、ロバスト最適化法の適用により空気潤滑スピンドルモータの開発を目指すものである。空気潤滑によれば軸受トルク損失が低減され、情報機器の消費電力の削減が期待される。現在、クラウドコンピューティングやビックデータの活用に伴ってデータセンターで扱われるデータ量は膨大となり、そのCO2排出量が極めて重要な問題となっているが、本研究課題はその削減に寄与できると考える。 本年度は、まず現行の油潤滑によるスピンドルモータを自作し、その軸受トルク損失の測定法について検討した。三相ブラシレスモータの消費電力を測定し、そこから鉄損、銅損を差引き、軸受トルクを算出した。その際、銅損は巻き線の電気抵抗から求めた。一方、鉄損は、軸受部を取り外したモータに駆動モータを取り付けて回転させ、単独で回転させた際のモータの消費電力との差から算出した。以上の方法より得られたトルクの測定値は、理論概算値とよく一致することが確認された。 さらにスピンドル用スラスト軸受のロバスト最適設計を実施した。溝形状最適化と組み合わせて検討を行ったところ、軸受トルク損失の大幅な改善は期待されるものの軸受剛性においては、ロバスト最適化を施したとしても十分な値を得るためには高い加工精度が必要になることがわかった。そのため、モータ構造の見直しから行う必要があると判断した。現在、新しいモータ構造を考案し、協力企業にモータの詳細設計を依頼しているところである。モータ構造にあわせて軸受構造も見直し、ジャーナル軸受、スラスト軸受のロバスト最適設計を実施する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スピンドルの回転を支持する空気軸受において、ロバスト最適化を実施したとしても剛性の向上が難しいと判断した。消費電力や軸受トルク損失の測定においては、次年度の予定を前倒しして実施できたが、一方空気軸受の設計においては、モータ構造の見直しから行う必要が生じ、その意味で計画はやや遅れ気味と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
空気潤滑においても十分な剛性が得られるようスピンドルモータの大幅な構造変更を行う。これに基づき、軸受のロバスト最適設計を実施し、モータを製作して実験を行う計画である。その際、所有するレーザー加工機を用いた軸受溝形状加工を検討し、溝形状のばらつきなども評価したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
理論計算により検討した結果、モータ構造の変更が必要であると判断した。そのため消費電力測定を優先して実施することとした。このため、次年度予定していた消費電力測定装置一式を購入し、これに伴い溝形状測定器の購入を見送った。 スピンドルの構造変更に伴うモータの試作が必要となる。そちらに費用をあてる計画である。
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