本研究課題では、最適設計による高信頼性空気軸受スピンドルの開発を目的としている。流体軸受を利用したスピンドルとして、ハードディスクドライブが挙げられるが、近年のクラウドを利用したビックデータの取り扱いやIoTを見据え、データセンターの消費電力の増大が解決すべき大きな課題として挙げられる。その際、スピンドル及びそのモータの消費電力の削減が極めて重要となるが、従来から使用されている油潤滑の流体軸受スピンドルでは、粘度の高い油を潤滑剤に用いることから、限界があった。そこで本研究では、空気軸受スピンドルを開発することで、この問題を解決しようとするものである。平成28年度は、新規スピンドルモータを試作するために、軸受の溝加工についてレーザー加工機を用いて検討した。前年度の結果を踏まえ、溝加工条件として、レーザー出力、印字回数、印字ピッチ、スイッチ周波数を変化させ、これらが溝深さ及び溝面の表面粗さに及ぼす影響ついて実験的に検討した。その結果、スイッチ周波数は、溝深さに対する感度が高いにも関わらず表面粗さに及ぼす影響が小さいことが明らかになった。一方、レーザー出力の上昇により、加工誤差が大きくなることが確認された。したがって、スイッチ周波数で溝深さを調整することが最も良いと判断される。
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