研究課題/領域番号 |
25420100
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
柿本 正憲 東京工科大学, メディア学部, 教授 (20537683)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 累進レンズ設計 / 焦点ボケ |
研究実績の概要 |
平成26年度計画は、(1)像歪み量計算の困難なレンズ周辺部分処理手法開発、(2)像歪み量計算の高速化、(3)単純化した評価尺度での最適化基礎実験、の3項目であった。 前記(1)(2)両項目については、歪み量計算のためのシミュレーションソフトウェアを開発している。しかしながら、そのために必要なCG表示ライブラリ(Activision社製Alchemy)の開発ライセンス延長が条件面の問題で滞ったため、シミュレーションソフトウェア開発を行うことが困難となった。代理店を通じて交渉中で、平成27年7月をめどに再び開発が可能となる見通しである。そのため、平成26年度中は年度後半で行う予定だった前記(3)を前倒しして行った。 単純化したレンズ設計評価尺度として、もっとも基本的なレンズ特徴量である屈折力分布を利用した。具体的には、レンズ表面における曲率(屈折力と等価)分布データから各点の平均曲率の分布を擬似カラーで等高線表示した。そしてその分布図をユーザー操作で微調整させ、システム側がレンズ形状を逆計算して修正し、所望の分布図になるようにするというソフトウェアを試作した。結果として、ユーザー操作に反応して1~数秒でレンズ形状を修正できた。 曲率分布の変更を形状の変更に反映させる手法は、ディジタル画像合成法の一つで、合成先の周辺画像に合成元画像を色味をなじませるポアソン画像合成と呼ばれる手法を応用して実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記概要で述べたとおり、像歪み量計算については、ライブラリ(Alchemy)のライセンス延長の不備のため、シミュレーションソフトウェア開発を行うことができなかった。年度後半に行う予定であった最適化基礎実験はほぼ計画通りであった。
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今後の研究の推進方策 |
ライブラリ(Alchemy)のライセンスは平成27年度前半までには再取得する見込みがたっており、像歪み分布や焦点ボケ分布のシミュレーションソフトウェア開発を再開できる。平成27年度はこのシミュレーション部分を用いた最適化手法の確立に向けた実験を行う予定である。 ライセンス料の支払いは平成26年度に行う計画であったが、これを平成27年度の調達とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ソフトウェアライブラリAlchemyを用いたソフトウェア開発ライセンス料に関して平成26年度に支払う予定であったが、提供元のActivision社から厳しいライセンス条件を提示されたため、代理店であるシリコンスタジオ株式会社を通じて交渉を行っていた。 具体的には、代理店の前年度販売実績の関係で、開発ライセンス提供が困難であるとActivision社からシリコンスタジオに通告されていた。これに対する交渉を行い、平成27年度前半には開発ライセンス提供を受けられる見込みがたった。 これにより、ライセンス料を平成27年度に使用することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
3次元CGモデル表示用組込みソフトウェア(ライブラリ)Alchemyの開発ライセンス料(2018年12月まで)として百万円(概算で、現在見積中)を使用予定。契約先はシリコンスタジオ株式会社(研究協力者の所属組織)。ソフトウェア開発元はActivision Inc.(米国カリフォルニア州)。 国際学会論文投稿用英文校正費用として10万円。国際学会SIGGRAPH 2015(ロサンゼルス)出席のための出張旅費・参加費として40万円。国内学会出張(SIGGRAPH Asia 2015 神戸、VCGCADシンポジウム ほか)15万円。残り約25万円は平成28年度の高性能PC購入に充当予定。
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