研究実績の概要 |
(a) 硫酸カリウム結晶を対象に、撹拌操作に起因する摩耗微結晶の生成量、粒径分布、母結晶の摩滅比率r_aの経時変化などの定量化実験を実施し、前年度に検討したカリミョウバン結晶の摩耗実験と同じ撹拌操作条件下で比較した。その結果、摩耗微結晶の生成量につては、カリミョウバンの場合は撹拌開始5時間後までに急激に増加するのに対して、硫酸カリウムでは撹拌開始後30時間にわたって徐々に増加する傾向を示した。母結晶1個あたりの摩耗微結晶の生成速度b_f,p [1/s]は、母結晶の角の丸み具合(摩滅比率r_a)と相関(b_f,p∝α r_a(-β乗)で整理できる)が確認され、硫酸カリウムのb_f,pはカリミョウバンのb_f,pと比較して、r_aのべき数βが小さいことがわかった。 (b) カリミョウバンの種晶添加冷却晶析をモデルケースとして、結晶の凝集状態を画像解析にもとづき定量化する手法について検討した。まず、一次粒子の形状を円形であると仮定して、一次粒子の位置と直径を算出した。粒子どうしの重なりの有無を判定することで、「単独で存在する一次粒子」と「二次粒子を構成する一次粒子」を区別することができ、さらに二次粒子の直径(球体積相当径)とそれを構成する一次粒子の個数の関係についても定量化することが可能となった。併せて、溶液の電気伝導度と温度から、溶質濃度と懸濁濃度の経時変化を計測する手法を構築した。その結果、種晶径125μm、冷却速度-0.05℃/分の条件において、種晶添加後30分までは、過飽和度は増大を続けるとともに種晶が一次粒子のまま成長することがわかった。30分以降では、大きな過飽和度に起因して小さな一次粒子群(二次核)が生成すること、ならびに結晶懸濁濃度の増大にともない二個以上の一次粒子が凝結した二次粒子(凝集結晶)が増加することなどを定量化することが可能となった。
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