研究課題/領域番号 |
25420115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
長谷川 豊 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20198732)
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研究分担者 |
鈴木 博貴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10626873)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 流体機械 / 風力発電 / 可変速運転 / 翼ピッチ角制御 / 数値解析 / モデル実験 |
研究概要 |
本研究は,風車単機の出力変動と構造系への負荷変動につき,風車運転制御により変動振幅を低減することを目指し,以下の要素技術の開発を数値解析と実験により行う. ①自然流入風下で運転制御する風力発電システムの数値解析モデルの構築と解析モデルの妥当性検証.②制御対象とする小型風車実験システムを設計・製作.③風車への瞬時流入風速の推定方法確立.④風車運転制御アルゴリズムの構築 平成25年度は,上記項目の内の①~③を実施した. 項目①に関しては,風車翼・タワー周りの流れ場に関する流体系モデルを渦格子法に基づき構築すると共に,風車翼とマストにおける低次モードの小振幅振動・変形をマルチ・ボディ・ダイナミックスモデルに基づき構築し,両者の連成解析モデルを試作した.試作した連成解析モデルは,文献引用により妥当性を確認した.なお,電力系モデルに関しては簡易モデルを検討中である. 項目②に関しては,風車軸トルクの時系列データと運転条件を利用する推定アルゴリズムを構築して,数値解析的に推定方法を検証中であり,風車の運転制御を行わない乱流流入風条件では,推定方法の妥当性が確認できた.しかし,風車運転制御に伴い発生する空力過渡トルクの影響を現時点では十分には考慮できず,平成26年度中にアルゴリズムの改良と実証実験が必要である. 項目③に関しては,風車ロータ・ロータ駆動システム・ピッチ制御システム・計測システムの構築が終了すると共に,屋外での予備実験・実証実験に向けた風車ナセル・タワーの設計・製作を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に実施を予定していた研究項目につき,研究実績の概容に示した通り,おおむねその内容が達成できた. 項目①の数値解析モデルの構築に関しては,平成26年度に予定した流体系と構造系の弱連成解析を既に開始し妥当性の検討も行っているが,一方で,電力系数値解析モデルに関しては,妥当性の検討には至っていない. 項目②の瞬時流入風速の推定方法確立に関してはその基礎段階は完了しており,平成26年度に実施する運転制御時の過渡応答特性の解析結果を利用して,改良を試みる予定である. 項目③の小型風車実験システム構築に関しても,おおむね完了しており,平成26年度中には予備実験ならびに各種検証実験を行える状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
平成26~27年度は,当初の研究計画・方法に則り,以下の研究項目を実施する予定である. 数値解析に関しては,風力発電システム(流体系・構造系・電力系)の連成解析モデルを構築し,このモデルを利用して風車運転制御時の過渡応答に関する数値解析を実施する.また,得られた過渡応答特性を利用して,風車出力・構造負荷の変動を低減する制御アルゴリズムを構築する.その際に,瞬時流入風速の推定方法に関しても過渡応答特性を利用して改良を試みる. 平成25年度に構築した小型風車実験システムを用いた実証実験に関しては,瞬時流入風速推定,制御時の過渡応答特性,制御による変動低減につき,屋外実験により実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に購入した三次元超音波風向風速計は,当初に予定した機種と同等以上の性能を有し,一方で金額が大幅に低下した.また,解析用のパーソナルコンピュータは,当該予算とは別の予算にて購入することができた.その結果,上記の通り次年度使用額が生じた. 次年度使用額は,今年度助成金と合わせて,主に解析用パーソナルコンピュータの追加購入ならびに実験用システムの消耗品購入に当てる予定である.これにより,数値解析の実施環境が改善すると共に,実験用システムの品質向上に繋がるものと期待する.
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