研究課題/領域番号 |
25420119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
辻本 公一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10243180)
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研究分担者 |
安藤 俊剛 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273345)
社河内 敏彦 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授(研究担当) (10024605)
鬼頭 みずき 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (00550401)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Jet / DNS / Low-dimensional model / Coherent structure / Mixing / Vector control / DMD / POD |
研究概要 |
工学機器において、混合、伝熱、化学反応等の促進を行うための基本的な手段として噴流が用いられてきた。制御しなければならない流れ場が従来と比べ多様化し、機器の大幅な負荷変動に柔軟に対応すること、あるいは機器のコンパクト化、微小化にあわせた高い混合を実現する制御手法の開発が求められている。本研究では複数噴流に対する有効なダイナミック制御手法を見出すため、従来手法のような噴流自身の不安定性に依存するのでなく噴流を強制的に制御する能動制御に着目し,DNS(Direct Numerical Simulation)により複数噴流の制御手法に必要な個々の単独噴流に関するダイナミック制御手法を検討した。自由噴流の場合、ノズルを噴流軸と直交する方向に大きく振動させる(振動モード)制御や振動モードの空間異方性を改善したノズルを傾けて回転させる回転モードによるダイナミック制御をこれまでに提案していたが、さらなる混合性能の向上のため、カオス混合的な視点から、回転モードに対し回転方向を反周期ごとに反転させる逆回転制御について検討を行った結果、高い混合性能が得られること、回転モードと比べても優位な制御方法であることを明らかにした。衝突噴流については、単独噴流を一定速度で旋回させるダイナミック制御に取り組み、単独噴流との伝熱性能を比較した結果、単独噴流の欠点である衝突面上での伝熱特性の不均一が、特定の回転周波数下で大幅に改善されることを見出した。さらに単独噴流を複数配置した多重衝突噴流について、噴流間距離を制御し特性を調べた結果、噴流間距離に応じた噴流干渉が生じることを定量的に明らかにした。また、多重衝突噴流の動的挙動を調査するため、DMD法(Dynamic Mode Decomposition Method)により、噴流の動的構造を解析し、噴流制御に必要な噴流の空間構造と周波数特性について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に予定していた単独噴流の制御に対する力学機構の解明については、今後提案する制御手法の分析結果とあわせ、今後総合的に検討することとした。一方、今年度予定していた複数噴流にかかわるダイナミック制御手法の検討については、方法論の創出に注力した。自由噴流の場合については、新たに逆回転制御の検討を行い、提案する制御手法が混合について有効な方法であることを見出した。衝突噴流の場合については開発した計算コードの改良を進め計算環境をより整えた結果、多重衝突噴流の制御や、DMDを用いた動的分析が行われ、今後予定される課題が先行して検討された。したがって、一部検討を先送りにした課題もあるが、先行して検討を進めた課題もあり、総合的に判断し、②と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
効率的制御のための低次モデルを構築することに対し、制御理論の導入ならびに数学的モデルの構築を進める。このため低次化モデルの検討を本来の主旨に戻し、二次元場や時間発展場のような計算負荷の少ない単独噴流場を中心に低次化を検討し、基本となるモデル化技術、制御技術の整備を早急に行う。順調に開発を進めてきたダイナミック制御については単独噴流での方法論の多様化をすすめると同時に、多数化された自由噴流や衝突噴流の混合特性や伝熱特性についても制御手法の適用を開始し、効果的な制御手法の提案を積極的に進める。
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