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インフルエンザウイルスに関する特性データを取り入れた計算流体力学にて、そのウイルス感染ルートの特定を目指している。H26年度までに室内環境下におけるマクロ的な流れと人の咳やくしゃみなどによるミクロ的流れ場を同時に計算させ、人ー人感染に対する支配的なエア流れの挙動を捉えた。また気管内流れについてもその準備を行ってきた。
H27年度は全ての項目における高精度化を図った。特に人体内流れについては新たに，自然な呼吸運動を再現するための肺モデルを提案・導入した。これにより呼気吸気運動において大多数のウイルスが気管支内にとどまっていること、また口呼吸と鼻呼吸によるウイルスの振る舞いの違いについても計算できることを示した。さらに水分を含むウイルス粒径の違いによるウイルス到達地点の差異を計算可能とするとともに、強毒性ウイルスと弱毒性ウイルスの感染特性に対するシミュレーション技術を実証した。これはウイルス学＋流体力学により初めて評価可能な重要な項目であると言える。
一方室内環境下におけるシミュレーションについては、これまで計算容量の制限上、簡略した人モデルを採用していたが、計算格子の構成そのものを抜本的に変更し、より詳細な計算に対する可能性を示した。またウイルス粒子そのものの空気抵抗等、実装できるパラメータを増加させた。これらの施策の積み重ねにより、全体の計算精度は飛躍的に向上させることが出来た。
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