アルゴンで構成される液滴の固体壁面上における濡れ広がり過程,および水とアルコールの混合物で構成される液滴の濡れについて,いずれも分子動力学法を用いた解析を行った.前者についてはアンサンブル平均の手法を適用することで,液滴内の密度,速度,応力の空間分布を抽出することに成功し,特に接触線付近での固体液体間の速度すべりと応力の間に強い相関があることが分かった.また後者については水―メタノール,水―イソプロピルアルコール系のシミュレーションを実施し,別途設定した準一次元系において力学的,および熱力学的に固気,固液,気液の界面張力を評価し,これらの釣り合いが液滴系の接触線付近で成り立つことを示した.
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