研究実績の概要 |
水路中に障害物を浸し,その下流に放出される渦による加速度をスマートホンで取得することで水路のエネルギーを測定する装置を開発してきた.今年度は振動を検出しやすくするために障害物の選定と支持具の開発を行った.支持具の選定では,円柱(直径18mm,高さ54mm),台形柱(上底18mm,下底8mm,高さ18mmの台形断面で高さ54mm),厚さを変えた平板(幅18mm,高さ54mm,厚さ2mmおよび6mm)を試した.円柱の障害物ではこれまでの平板(厚さ1mm)の場合よりも約15%低い流速(0.25m/s)から障害物の振動が起こり,測定領域が広がることが分かった.ただし無次元周波数の卓越領域が広がってしまい,さらに一定にならないこと,加振力が小さくなるという短所も見られた.これまでの観察から,加振力を大きくするためには流れに垂直な方向の障害物の面積が大きくなることが望まれる.そこで,台形柱の障害物を試した.加振力は大きくなったが,卓越無次元周波数が一定にならず,さらに振動時の障害物の移動量が大きくなりすぎることから本装置には適さないことが分かった.そこで卓越無次元周波数が一定であった平板を用いて,これに厚さを増やすことで流れに垂直な方向の障害物の面積を増やすことにした.厚さ2, 6mmを試した結果,厚さ6mmでは台形柱と同様の傾向が見られ,けっきょく2mmの平板が最適であることが分かった.実際にスマートホンに取り付けて測定を試みた場合,人によっては支持棒を持つ力加減が振動を抑えてしまうほど強い場合があった.そこで試行錯誤の末,回転盤と合板で作成した支持具を新たに作成した.これであれば材料を容易に入手でき,特殊な工具を必要としないので,誰でも測定できるという当初の計測器にすることができる.
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