研究課題/領域番号 |
25420128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
尾池 守 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (70292282)
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研究分担者 |
高田 仁志 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 研究員 (30358569)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 流体工学 / 航空宇宙工学 / トライボロジー / 混相流 / 極低温流体 |
研究概要 |
本研究では、ロケット用極低温推進剤ターボポンプの長寿命化を図るため、広範囲の稼働領域で安定に作動する極低温ハイブリッド・ジャーナル軸受(HJB)の開発を目指す。 液体窒素を作動流体として行った軸受円周方向に非対称なリセス形状を有するHJBの実験結果で確認された、軸受性能に及ぼすジャーナル回転方向の影響の詳細を解明するために、軸受円周方向に対称な正方形リセスを有するHJBの実験結果と比較した。その結果、60,000 rpm以上の高速回転域では、ジャーナル回転方向とリセス前縁との交差角度であるリセス前縁後退角と軸振動との間に強い相関性が存在し、プラスの後退角となるジャーナル回転方向では軸振幅が有意に小さく、動的安定性に優れていることが判明した。 さらに、軸振動データの周波数解析(FFT解析)結果から、リセス形状とジャーナル回転方向が同一ならば、回転数の約40%に相当する亜同期成分の相対的強度と軸振幅との間に相関性があることが判明した。また、リセス内で測定された圧力変動データにも40%亜同期成分が存在しており、リセス部圧力変動と軸振動との関係性を解明する必要がある。 そのためには軸受すきま内流動状態を詳細に把握する必要がある。HJBを模擬した透明プラスチック(ポリカーボネート)製リングを試作し、リセスおよびランド部における極低温流体の流動状態を可視化観察する可視化流動試験の整備を進めた。本年度は回転試験までには至らなかったが、無回転状態での液体窒素可視化流動試験を行い、すきま出口流量係数に及ぼすリセス形状の影響を実験的に確認するとともに、すきま出口では気液二相流状態で流出することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに得られた極低温ハイブリッド・ジャーナル軸受(HJB)の高速回転試験結果を詳細に解析・比較することにより、現状での課題を明確化するとともに、可視化流動試験や解析的アプローチに対する問題設定を行うことができた。 可視化流動試験では回転試験までには至らなかったが、内径40 mmの透明プラスチック(ポリカーボネート)製リングの内面に複雑な形状を有するリセスを加工した模擬HJBを試作し、液体窒素を用いた流動試験で可視化観測できることを確認するとともに、リセス形状の影響を実験的に確認することができた。 したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
60,000 rpm程度までの高速回転状態で液体窒素を作動流体とした可視化流動試験を行い、流動状態に及ぼすリセス形状の影響を実験的に明確化するとともに、その影響の定量化を図る。 実験データに基づいた数式モデルを構築し、計算コードの高度化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
回転状態での可視化流動試験までに至らなかったため。 回転状態での可視化流動試験の物品費に使用する。
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