研究課題/領域番号 |
25420129
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
深潟 康二 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (80361517)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 流体力学 / 流体工学 / 乱流 / 流れの制御 / 数値シミュレーション / 制御理論 / 実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,先進的な流れの制御によって乗用車やトラック車両などの空力抵抗をさらに低減するため,一般的な形状の物体周りの流れの制御に関する基礎理論を確立することである.そのためにまず圧力抵抗と流れ場の物理量との間の関係を数学的に定式化する.次にこの定式化に基づいて空力抵抗を最小とする制御入力を低次元モデル化手法,制御工学の理論,最適化手法,および流れの数値シミュレーション技術を総動員して求め,理論的なフィードバック制御則の構築を行う.さらにこのフィードバック制御の結果をもとに,センサを用いず,より実用化しやすいプレデターミンド制御手法を提案する. 昨年度は,第1段階としてカノニカルな外部流である円柱周り流れにおける散逸と表面物理量の間に成り立つ恒等式を導出し,第2段階としてその恒等式を用いた準最適フィードバック制御の直接数値シミュレーション(DNS)によって渦放出の抑制効果を確認した. 今年度は,第3段階として,フィードバック制御の結果として得られた定常な吹出し・吸込み分布を用いて,センサを用いないプレデターミンド制御を行い,また二次元流れのみならず三次元流れに対しても渦放出抑制効果があることが確認された. 円柱周り流れに対しては,さらに理論的な研究として,システム同定に基づく制御の数値シミュレーションを行い,もう一方では実用に向けた研究の一つとしてプラズマアクチュエータを適用した場合の数値シミュレーションを行い,渦放出制御効果を確認した. また,内部流であるチャネル乱流に対しては進行波状体積力を用いた抵抗低減制御の数値シミュレーションを行い,混合層に関しては上流における周期的振動による混合制御の直接数値シミュレーションを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階ではカノニカルな外部流である円柱周りの流れに限定されてはいるが,第1段階の目的である,流れの抵抗と流れ場の物理量との間の関係を数学的に定式化することができ,また第2段階の目的である,その定式化に基づく理論的フィードバック制御を用いた数値シミュレーションにおいてその有効性が確認され,さらには第3段階の目的である,フィードバック制御の結果を用いたプレデターミンド制御による制御効果の有効性も確認されたため.
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今後の研究の推進方策 |
一般的な流れを対象として第1年目に第1段階を,第2年目に第2段階を進めるという当初のスケジュールとは若干変わり,第1~2年目には主に円柱周りの流れという1つの流れに対象を絞って第1段階~第3段階の研究を進めた.第3年目は同様の数学的定式化を,周方向に一様でなく難度の高い角柱周り流れに対して適用し,一般化への指針を立ててゆく.
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