研究課題/領域番号 |
25420131
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
塚原 隆裕 東京理科大学, 理工学部, 講師 (60516186)
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研究分担者 |
川口 靖夫 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20356835)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 流体工学 / 乱流 / シミュレーション工学 / 熱工学 / 乱流モデル / 粘弾性流体 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,二方程式モデルおよびレイノルズ応力方程式モデルをフレームワークとして,ニュートン流体で開発されてきた各種乱流モデルを粘弾性流体向けに拡張し・構築することを目的としている.これと平行して,直接数値解法に基づくシミュレーション(DNS)や界面活性剤水溶液などを用いた実験により複雑流路における現象解明と乱流統計量のデータベース構築を行い,提案する粘弾性流体用の乱流モデルの高度化を図る. 今年度は,粘弾性流体への適用を目指した低レイノルズ数型k-εモデルの修正について,さらに様々なモデル関数や粘弾性寄与項のモデル化を試し,性能を評価した.ニュートン流体で同様に広く利用されているk-ωモデルの粘弾性流体への拡張も試した結果,低レイノルズ数型k-εモデルおよび非線形k-εモデルに比べて,k-ωモデルではより良好な速度予測が行えることが判明した.粘弾性寄与項(非線形項)のモデル化の工夫のみでは更なる高度化は困難であり,現状のモデル(従来のニュートン流体向けモデル式)の問題点を明確にした.レイノルズ応力方程式モデルの粘弾性流体への拡張も行い,これについても比較的良好な予測が行える目処がついた. 複雑流路に適応した乱流モデル構築を念頭におき,複雑流路の一例としバックステップ乱流のDNSを実施した.これにより,ステップ後流に生じるKelvin-Helmholtz渦が粘弾性流体の流れでは顕著に抑制され,乱れの低下を確認した.一方で,粘弾性流体ではステップ側壁面の対向壁上で第2再循環領域が誘起され,主流の大きな揺動を引き起こし,乱れがニュートン流体に比べて促進される現象を見出した.これに良く似た現象は平行して行っている実験においても確認され,界面活性剤水溶液などの粘弾性流体が主流の揺動を起こす条件(レイノルズ数,界面活性剤濃度)が有限な範囲で存在することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標である二方程式モデル(低レイノルズ数型k-εモデル,非線形k-εモデル,k-ωモデル)についての性能検証をおおよそ終えて,最大限のモデル改善を行ってきた.レイノルズ応力モデルでの検証も順調に進み,良好な予測結果を与える計算まで行えるようになった.加えて,粘弾性流体バックステップ乱流のDNSと実験が進んでおり,今年度には国際学会発表および学術論文投稿までの段階に達した.
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今後の研究の推進方策 |
構築してきた粘弾性流体向けの乱流モデルを複雑流路内で検証するため,OpenFOAMなどのCAEソフトウェアを導入し,複雑流路における流体解析を容易に行えるよう準備を進めていく必要がある.構築してきた乱流モデル自体については,国際学会発表および学術論文投稿を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
おおよそ計画通りに予算執行を行ったが,当該残金が1万円未満の小額であり,適当な使途が発生しなかったため,次年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通りに予算執行を行いつつ,当該繰越額は大型計算機利用料の一部にあてる.
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