口蓋垂口蓋咽頭形成術(UPPP)は閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の根治術であるが,OSAS改善率は約50%に留まっている。本研究は工学的見地からOSAS成因メカニズム解明を試みた。その結果,(1)UPPPは鼻咽頭全体の形態を変化させる,(2)OSASの改善度とUPPPによる狭窄部開大とは低相関である,が明らかになった。本結果は狭窄部開大に注力しているUPPPのOSAS改善率が50%に留まっている一因と考えられる。また,実症例の壁面剪断応力の評価より0.4Pa付近にOSAS発症の閾値が確認された。数値解析により壁面剪断応力を評価すれば,手術前にUPPPの効果を予測できるものと考えられる。
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