研究課題/領域番号 |
25420140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
坂上 博隆 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 航空本部, 研究員 (90373448)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発光計測 / 差分計測 / 非定常計測 / 圧力計測 |
研究概要 |
試験体表面に生じる非定常な微小変動圧力場(基準圧力の0.1%以下)をとらえる感圧塗料(Pressure Sensitive Paint, PSP)計測法の確立を大目的とする。特にその中で大きな課題となる、微小変動のみ抽出する差分計測法と高速応答性を有するPSPを融合した差分PSP計測法の研究開発を目的とする。本研究は、坂上博隆が提唱する2色非定常PSP(若手研究B、課題番号21760660)を土台とし、基準圧と変動圧に対応する2色非定常PSPと、差分回路を組み込んだ差分計測システムを融合することで本研究の目的を達成する。 提案する新規PSP計測法は、(1)基準圧と変動圧に対応する発光ピークを持つ2色発光を有し、かつ高速応答性を有する2色非定常PSPの開発と(2)異なる波長領域の発光量を、差分回路を通して差分量とし、デジタル記録する差分計測法の開発、およびそれらを融合したシステムにより構築される。平成25年度は(1)(2)の要素研究を行った。 (1)を満たす発光色素としてフルオロイセンとルテニウム錯体を用いた2色発光PSPを開発した。高速応答性を有する基盤として、TLC(thin-layer chromatography)を用いた。これらの要素により開発した2色発光PSPは、衝撃波管を用いた応答性試験により数マイクロ秒の応答性を有することを確認した。(2)分岐ファイバー先端にフォトダイオードと各発光ピークに適合する干渉フィルタを取り付け、(1)で開発したPSPの2色発光を取り込む装置を開発した。各発光信号は差分回路で差分信号としてオシロスコープでデジタル化することができる。大気圧付近(900~1100 hPa)で構成試験を行い、圧力感度が-1.2 %/hPaを得ることに成功した。これは基準圧力1000 hPaに対し、発光量が1.2%変化することを示す。次年度は(2)のシステム構築を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は要素研究を目的としており、それらは(1)2色発光を有する高速応答PSPの開発、(2)差分回路を組み込んだ計測法の開発である。(1)(2)ともに達成することに成功し、圧力構成試験の結果から基準圧力の0.1%の変化量に対し、得られる発光信号が1.2%変化することを示すに至った。
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今後の研究の推進方策 |
面計測をする上で、本年度は1画素に相当する計測法を研究した。次年度はシステムとしての圧力応答性および圧力分解能を詳細に数値化し、システム構築することが目的である。最終年度では、1画素を複数並べた画像素子としてのシステムを提案し、その実証を行う。
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