2系統の同じ周波数で得られる超音波の効果を融合させて,噴流バーナで形成される火炎において希薄燃焼限界(通常は燃料濃度が薄く火が消える)条件での安定かつ継続的燃焼を実現することを目的とする.1系統では限定されていた混合促進範囲をシステムの最適化で増幅し,さらに2系統並列で用いることで拡大し,スケールの大きな火炎においても超音波が効果的に作用するシステムを構築する.これにより木質バイオマスのガス化炉などで必要な継続的な超希薄燃焼の実現を目指す. 平成27年度は,2系統の振動システムを用いて照射方向を変化させ,より大きい火炎でも継続的に燃焼が安定するように改善するとともに,そのときの流れ構造の変化を可視化診断して火炎前方の未燃焼領域の混合促進度合いと関連づけることが主な目標であった.直径2mmのノズルを用いて形成した噴流火炎と直径10mmのノズルを用いて形成した噴流火炎の二つを対象に2系統の振動システムの効果を検証した.このとき2系統の振動システムは同じ照射高さで設置し,照射面を対向させた場合(角度180度),直角にした場合(角度90度),同方向から60度ずらした場合,の3つの場合について火炎の安定限界(燃料噴流流速を増加した場合の吹き飛び限界など)を比較した.その結果,照射角度が180度のときに最も吹き飛び限界値が大きく,火炎が安定することがわかった.前年度に1系統の振動システムではその効果が顕著で無かった直径が10mmのバーナの場合でも,燃料噴出速度が0.4m/s以上の大きい場合に安定限界が改善した.このときアセトン平面レーザ誘起蛍光法による未燃噴流の可視化を行った結果,角度が180度のときに最も噴流コアが変形して混合が促進されていることがわかった.
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