研究課題/領域番号 |
25420147
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
二宮 尚 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70212123)
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研究分担者 |
茨田 大輔 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80400711)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 三次元速度計測 / デジタルホログラフ / マイクロ流路 |
研究概要 |
インライン型のデジタルホログラフィに対し、ドップラー位相シフト法による解析を行うことで、精度の高い位置計測と奥行き方向の速度計測が可能と考えられる。本研究では、その予備的研究として、奥行き方向に移動する凹面鏡に対して、本手法を用いた解析を行い、凹面鏡の表面形状を精度良く測定可能なこと、併せて、奥行き方向の速度計測が可能であることを示した。本年度は、具体的な対象物として、五円玉硬貨を用い、奥行き方向への移動だけではなく、三次元の速度を与えて、その速度と形状の同時計測を行った。奥行き方向のみの移動であれば、測定対象の像の位置が動かないため、ドップラー位相シフト法による解析に必須な時系列データを容易に取得することが可能であるが、横方向への移動があると、測定対象の像の位置が時間的に変化してしまう。本研究では、一定時間間隔離れた二時刻の再生像に対し、粒子画像流速計(PIV: Particle Image Velocimetry)の原理を適用することで、面内の変位を算出し、各時刻における画像のシフト量を推定し、フーリエ変換を用いてシフト量を補正することで、面内方向への移動を補正した時系列画像を再構築することに成功した。得られた再構築画像を用いることで、時系列の解析が可能となり、対象物に横方向への移動がある場合にも奥行き方向の速度計測が可能となった。更に、対象物の移動方向及び移動速度を種々変化させて、三次元速度計測を行うことで、様々な条件下で三次元速度計測が可能であることを実証した。また、光学部品の見直しを行うことで、ノイズの少ない計測系を実現すると共に、今後の研究に備えて、顕微鏡の拡大光学系を準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、粒子群の運動に対し、段階的に運動の自由度を増して行くことで、計測の自由度を高めて行く計画であったが、実際の研究においては、視認性の高い干渉像を使った方が研究を進め易かったため、計測対象を粒子ではなく、五円玉硬貨として、研究を行った。図形的特徴の明確な対象物を計測対象としたことで、面内のトラッキングが容易となり、横方向への移動を伴う時系列画像に対し、有効な位置補正を行うことに成功した。その結果、三次元計測のアルゴリズムに関しては、当初の計画より早い段階で、基本的な計測アルゴリズムを確立することに成功した。一方、粒子を用いなかったために、離散的な計測点に対する画像の識別・分離の方法に関しては、今後の検討課題となっている。しかし、当初の計画では、平成26年度以降に実施する予定であったマイクロ流路における三次元流速測定に必要となる顕微鏡の光学系に関しては、光学系の基本設計と部品調達を行うことに成功しており、当初の計画よりも若干進展している。以上より、研究全体として、総合的に判断した場合、現在までの研究の達成度は「おおむね順調に進展している」ものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず、本年度までに実現した、物体の単眼三次元速度計測法の基本的な計測原理に関して、国内外に研究成果の公開を行いつつ、関連する研究分野の情報収集を行う計画である。また、計測方法の開発自体に関しては、早急に、粒子を対象とした計測を行い、実際にマイクロ流路内での三次元速度計測が実現可能であることを早い段階で検証する。粒子を計測対象とすることで、個々の粒子からの光散乱を識別し、時系列に追跡する必要が生じるが、インライン型のホログラフィを使用しているので、0次光に対して、PIV計測の原理を適用することで、研究者の画像流体計測のノウハウを十分に活用することが可能であると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
粒子の計測に必要な2台目のピエゾ精密移動ステージと精密回転ステージの購入を次年度としたため。 購入年度は当初の計画と異なるが、当初の計画通りの物品を購入する予定なので、使用計画自体に大幅な変更はない。
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