高圧・高温雰囲気を実現する1) 小型高圧容器,2) 高圧雰囲気発生装置(20MPa以上),3) 高温雰囲気生成チューブ(1000K以上),を設計,製作し,高効率内燃機関の燃焼室雰囲気を模擬しうる装置を制作する.小型高圧容器には自由液滴生成装置(液滴直径10マイクロメートルから30マイクロメートル)を内蔵する.これらの装置を用い,将来利用が見込まれる複雑な組成を持った液体燃料の,1)蒸発係数圧力依存性および温度依存性の計測,2) 実際に近い液滴直径(10マイクロメートルから30マイクロマイクロメートル程度)の蒸発挙動観察,3) 実機に近い雰囲気(二酸化炭素混合雰囲気,減酸素雰囲気など)での蒸発挙動の観察,を行う.その結果,大気圧・高温雰囲気では,本実験装置で噴射できた液体では,微小液滴は蒸発末期に分裂あるいは不安定移動の挙動を示すことがわかった.一方,高圧・高温雰囲気では,臨界圧力の半分程度の圧力を超えると膨張,拡散の後,輝炎を伴う火炎を形成した.一方,この微小液滴に波長266nmのパルスレーザを照射したところ,分裂現象が確認された.この分裂現象は液体のもつ吸収係数によって異なることが予想される.吸収係数が大きい場合,照射面から大きな分裂現象が確認される.吸収係数が小さい場合,紐状の分裂が確認された.ただし,波長532nmのパルスレーザーを照射した場合,これらの分裂現象は見られなかった.以上から,極端に吸収係数が小さいと分裂現象は発現しないと思われる.
|