都市型集中豪雨は,地球温暖化(大),ヒートアイランド(中),都市化(小)など様々な異なるスケールにより頻発するシビア気象現象である.防災・減災に向け,迅速かつ正確な数値予測方法の確立が望まれている.本研究は,熱工学的に発展した多孔質体理論を気象予測に応用している.特に、複雑な微視的都市構造により現れる巨視的性質(透過性,熱分散,乱れ)の気象への導入を行い、実際の都市構造の体積平均化による数値解析負荷の画期的な軽減した。都市型局地的集中豪雨を誘発する都市構造の解明に向けた解析環境を提案した。 都市構造等の地表面構造物の影響をこれまで工業製品の伝熱促進に向けた研究において用いられた手法を導入し、都市の慣性抵抗,熱分散熱伝導率,界面熱伝達率などを用いる巨視的モデルを提案した。ただし、都市構造は複雑かつ大規模であり、その巨視的モデル係数を従来の実験的手法で決定することが困難なため、微視的熱流動場に注目した周期境界条件を用いた数値シミュレーション手法をも導入し、有限高さの建造物群の高さ方向に変化する巨視的モデル係数の算出を試みた。また、都市が巨大であるために都市流動場は乱流として取り扱う必要があるため、多孔質対都市環境に置いての乱流モデルとして標準k‐ε2方程式乱流モデルの空間平均モデルを導入し、局地的大気不安定による乱流境界層の予測に取り組んだ。不安定性を表す2つのパラメータの導入により実験結果と整合する速度および乱れ場の予測が可能となった。また、局所的集中豪雨を形成する局所的上昇流に伴う雲生成を簡易的に取り扱うため、水蒸気の凝縮、蒸発、雨滴の成長などを導入したエンタルピ法に基づく数値シミュレーションモデルを提案した。本数値シミュレーションモデルは、ヒートアイランド現象による上昇流および地形性に継続する豪雨の発生予測しうることが確認された
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