研究課題
平成27年度は,活性炭(Maxsorb III)によるフロン系冷媒(R32)の吸着について,吸着速度を詳細に解析し,拡散係数を同定するためのモデル化を行うとともに,同モデルを用いて拡散係数の解析を行った.吸着速度を簡便に表すモデルとして,線形推進力近似モデルが良く利用されるが,吸着初期の振る舞いを厳密に再現できないことが知られている.そこで,圧力を駆動力とした冷媒の移動が支配的な状態から,吸着剤粒子内の濃度勾配を駆動力とした拡散現象に移行する過程を,拡散係数の変化で表現したモデル化を行い,新たな式を提案した.提案した式には3つのパラメータが含まれており,各パラメータの値は,実験データと推定値の誤差の2乗が最小になるように近似して求めることができる.それぞれ,吸着初期の物質移動に関わるパラメータ,吸着剤粒子内の拡散に関わるパラメータ,圧力変化による初期吸着速度への影響を表すパラメータと解釈されることが実験データの解析より示唆された.実験データの結果から,吸着速度のパラメータである拡散係数には,環境温度付近での値と臨界温度付近の値とで顕著な違いがあり,これらの違いをさらに詳細に調査することで,超臨界状態での吸着現象をさらに深く理解できる可能性があることがわかった.
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Proceedings of the 3rd International Workshop on Heat Transfer Advances for Energy Conservation and Pollution Control
巻: Proceedings ページ: Paper ID1177