研究課題/領域番号 |
25420166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
大上 泰寛 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (00375122)
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研究分担者 |
鶴田 俊 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90197773)
大徳 忠史 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (40452049)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 消炎限界 / ミスト / 蒸発ダムケラ数 |
研究概要 |
近年,水ミストは,ハロンガスに代わる消火剤として研究が行われている. 最近,Chelliah (Proc.Combust. Inst. 31, 2007)は,対向流拡散火炎および一次元予混合火炎の数値計算を行った.また,Sasongkoら(Proc. Combust. Inst. 33, 2011)は,対向流拡散火炎を用いた消炎実験を行い,蒸発ダムケラ数を用いた議論を行った.水ミストによる消炎に関しては,これまで拡散火炎を用いた研究が多くなされてきたが,自然対流の影響が強くかつ拡散律速の場において,水ミストが化学反応に及ぼす影響等を議論することは難しい. 一方,予混合火炎は化学反応に律速であることから,水ミストが化学反応に及ぼす影響について直接的に議論するのに適している.予混合火炎については,Mitani and Niioka(Proc. Nineteenth Symp. (Int.) Combust. 19, 1982)により,NaHCO3を添加した場合の消炎に関する実験的・理論的研究が行われているが,未だデータは限られているのが現状である. 本研究では,水ミストが予混合火炎の火炎特性に及ぼす影響について,水ミスト/CH4/air予混合火炎を用いて調査を行う. 平成25年度においては,種々の当量比,水ミスト濃度の条件下において,水ミスト/CH4/air予混合火炎の消炎限界を測定した.また,Fussら(Proc. Combust. Inst. 29, 2002)の手法を参考とし,蒸発ダムケラ数を用いた蒸発ミスト濃度の推算を行い,水ミストによる熱損失の効果について調査を行った.さらには,レーザーを用いた水ミストの可視化を試み,水ミストが火炎帯を通過する際の蒸発挙動の観察を行うと共に,前述の蒸発ダムケラ数を用いた解析結果との比較を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度については,当初,水ミストの濃度および粒度分布等の導出や,実験装置や測定手法の改良を行うことを計画していたが,これらについては順調に進展した.そのため,本研究で重要となる燃焼実験による消炎限界についても,当量比や水ミスト濃度に関して広い条件下で測定を行うこととができた. さらには,レーザー計測系を用いた水ミストの可視化においても,極めて鮮明な画像を取得することができ,水ミストの蒸発挙動を詳細に観察することができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては,平成25年度に引き続き,種々の条件下における消炎限界の測定を行い,水ミストによる消炎機構において支配的となる要因についてさらなる議論を行う予定である.その際,これまでは水ミストの蒸発による熱的影響について考察を行ってきたが,水ミストから発生した水蒸気が化学反応やふく射熱損失に及ぼす影響についても加味し,議論を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では,水ミストの粒径分布測定として,連続光レーザーとハイスピードカメラを用いて水ミスト粒子のバックライト撮影を行うシャドウイメージ法の利用を予定していたが,①購入可能なハイスピードカメラで粒子撮影を行うための十分なスペックを有する製品が存在しなかったこと,②新たに極めて高性能なストロボ光源が製品化されたが,年度内の購入には間に合わなかったこと,の2つの理由から,次年度使用額が生じた. 平成26年度は,平成25年度の未使用分と合わせ,上記のストロボ光源を購入する予定である.これにより,当初予定していた連続光レーザーとハイスピードカメラを用いたシャドウイメージ法よりもさらに高精度な粒径分布測定を行うことが可能となる.
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