研究課題/領域番号 |
25420167
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
西村 伸也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30189310)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 蒸気圧縮式空冷空調機 / 実性能 / 性能評価 / COP / ヒートアイランド / 水噴霧 / 温暖化 / 節電 |
研究実績の概要 |
本研究では,空調機の大半を占める電動の住宅用ならびに業務用の蒸気圧縮式空冷空調機を対象に,実際の運転現場において,空調機本体に追加工事や大規模な測定装置を必要とせず,実運転時の性能を簡便かつ正確に測定可能な実性能簡易評価法の開発を目的としている. 本年度は研究の2年目として,1年目に作製した性能試験装置を用いた実験と,盛夏期の日中に生じるや高温化での性能低下の改善策としての室外機への水の冷却効果を利用した性能改善策についての現場測定ならびに理論的な検討を行った. まず,実性能測定に関しては,定格能力が2.8kWの家庭用ルームエアコン試験機を用いて,年間を通して冷房実験ならびに暖房実験を行った.これにより,気温変化に伴う空調負荷の変化が性能に及ぼす影響を定量的に把握し,気温変化に対する性能変化曲線を得ることで,夏季高温時の性能低下を定量的に明らかにした.ついで,上述の夏季高温時における性能低下の改善策として,水の冷却効果を利用した,室外機への水噴霧による冷房性能の改善を試みた.このために,まず,装置メーカーと協力して,業務用空調機に対する水噴霧の効果に関し,フィールド測定を行った.この際,種々の冷却装置の性能改善効果を共通の土俵で評価できるよう,現場測定に適用可能な測定項目や測定装置について検討した.ついで,測定結果から性能改善効果を予測するデータ解析方法について検討を加えた.さらに,この水噴霧による空調機の性能改善による,外気への空調顕熱排熱の低減量の予測手法について検討を加えた.そして,建物利用用途の異なる6種類の建物モデルについて大気顕熱負荷削減効果を評価し,一定の効果が得られることを明らかにした. なお,上記の実験的な検討については,平成26年度の日本冷凍空調学会年次大会において,研究成果を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度には当初,25年度中に現場対応型の可搬式実性能簡易測定装置の完成を目指していた.しかしながら,主に以下の二つの理由により,測定装置が完成しておらず,計画がやや遅れている. (1) 最新型の空調機では,室内熱交換器ならびの室外熱交換器に用いる伝熱管の細径化と流路の複数パス化が進んでおり,熱交換器の性能を評価するために取り付ける熱電対温度センサーの位置決定が従来機に比べて難しくなった. (2) 上記の(1)の結果,申請者らが提案する「冷媒温度測定法」の精度検証を行うために使用している,超音波ドップラ流速計による冷媒流量の測定精度が低下した. このため,以上の二つの問題点を克服できるよう,室内熱交換器ならびに室外熱交換器の局所伝熱特性を空間的により詳細把握できるよう,熱電対をより多く設置するとともに,新たに熱線流速計を購入し,室内機ならびに室外機における空気側のエンタルピー変化の同時測定を行った.これら実験方法の改良と追加実験を実施したため,申請時の研究計画に比べてやや遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
27年度は以下の項目についての検討を行う. (1)現場対応型の可搬式実性能簡易測定装置の完成 (2)ルームエアコンならびに業務用エアコンを対象としたフィールドにおける実性能測定実験の実施 (3)フィールド測定結果に基づく,外気温別性能の分類.ならびに,稼働年数による性能変化の分析 (4)節電対策,省エネ・省CO2対策としての空調機の性能改善手法の提案
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次年度使用額が生じた理由 |
計画がやや遅れたため,可搬用性能試験装置の製作を中止したため.
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次年度使用額の使用計画 |
過半要請の宇試験装置部品(AD変換機能付き温度測定センサ)の購入に充当する予定.
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