研究課題/領域番号 |
25420176
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
丸山 真一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (60344925)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機械力学・計測制御 |
研究実績の概要 |
近年,MEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる,集積電子回路の技術を応用した微小機械が盛んに用いられている.MEMSを利用した微細なセンサやアクチュエータの中には,MEMS内の微小なはりや板構造に変形や振動を生じさせ,動作するものが多く存在する.MEMSを利用したセンサやアクチュエータの精密設計では,微小薄肉要素に作用する静電力や電磁力の分布を精度良く求めることが重要である.しかし,微小な薄肉要素に作用する外力を実験的に求めることは難しく,実際の開発ではCAEによるシミュレーションが多用されるものの,その検証を行う手段が無い現状にある.そこで本研究では,薄肉連続弾性体の微小振動におけるひずみ応答を用いた集中周期荷重位置の同定について検討を行った.具体的には,薄肉連続弾性体の微小線形振動の一例として片持ちはりを取り上げ,ひずみの定常応答を逆解析することによる周期外力印加位置の同定における,加振力の変化,ひずみの観測位置の誤差,観測信号への白色雑音の混入などのモデル化誤差が同定結果におよぼす影響について特に考察を行った.具体的には,観測されたひずみ応答と仮定したひずみ応答の差で定義されるコスト関数の最小点から同定される加振位置について,微小なモデル化誤差による感度を解析的に求めた.これより,モデル化誤差に起因した加振位置の同定誤差について,加振振動数,観測位置,加振位置の依存性を明らかにした.例えば,観測信号に白色雑音が重畳した際には,観測位置がはりの先端部や固有振動形の変曲点付近にある際に誤差が生じ易い,現実とモデル化で仮定した加振力に差異が生じた際には,たわみ角が小さい位置に加振位置が存在すると誤差が生じ易いことなどを示し,良好な同定結果を得るための有効な資料を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薄肉弾性体に生じるひずみの動的応答から,弾性体に作用する外力を同定する手法において,モデル化誤差の影響を明らかにできたため.
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今後の研究の推進方策 |
薄肉連続体に作用する分布外力の同定方法の確立のため,連続体の振動問題を複数の区分や要素に分割して多自由度系の振動問題としてモデル化し,順解析とその結果に基づく逆解析を試みる.そこでは,ひずみ応答の多点での測定データの活用について検討する.さらに,集中周期外力および分布外力により誘起された非線形振動応答をひずみにより測定した結果から,外力分布を測定する手法を確立するため,複数の外力分布による非線形振動応答の解析と実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入した研究用機器類が予定より安価に購入できたこと,および国際会議出席予定を次年度に変更したために次年度使用額が生じたものであり,次年度の研究経費の一部として使用する.
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次年度使用額の使用計画 |
実験用消耗品,センサー類等の購入とともに,研究調査などの旅費に使用する.
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