研究課題/領域番号 |
25420180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
太田 浩之 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30233141)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | クロスローラガイド / 保持器ずれ / 発生機構 / 防止方法 |
研究概要 |
本研究は,クロスローラガイドの保持器ずれ(実際の保持器の移動距離とローラとレールが巨視的な滑りを伴わないで転がり接触する理想的な場合の保持器の移動距離の差)の発生機構を解明し,その防止方法の提案を目指している.今年度における研究の成果は以下の通りである. (1)まず,クロスローラガイドテーブルを試験装置に鉛直に取り付けた状態で,一定の駆動周期で駆動した.そして,保持器ずれに及ぼすラジアル荷重およびミスアライメントの影響を実験的に調べた.その結果,以下のことが判明した.すなわち,ラジアル荷重が加わった場合,ミスアライメントがゼロであれば,左右の保持器はテーブルの駆動周期で微小に変動しながら,主として鉛直下方にずれる.ヨーミスアライメントがある場合,ラジアル荷重がゼロならば,テーブルの駆動周期での微小な変動を除き,左右の保持器の保持器ずれの方向は互いに逆向きとなる.一方,ピッチミスアライメントがある場合,ラジアル荷重がゼロならば,左右の保持器は主として鉛直上向きにずれる. (2)次に,保持器ずれに及ぼすラジアル荷重およびミスアライメントの影響を解析的に明らかにするために,試験クロスローラガイドテーブルのモデルに対してマルチボディ解析(MBA)を行った. MBAモデルにおいて,ローラ,保持器およびレールは,ヘルツ接触部を除き,剛体と仮定した.保持器ずれに及ぼすラジアル荷重およびミスアライメントの影響に関するMBAの結果は,上述のような実験結果と定性的に一致した.このことから,クロスローラガイドテーブルにおける保持器ずれを説明するのにMBAが有効であることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,当初計画にしたがって,保持器ずれに及ぼすラジアル荷重およびミスアライメントの影響を実験的に調べ,その特徴を明らかにした.さらに,この実験結果を説明するためにマルチボディ解析を実行し,実験結果と解析結果が良く一致することを確認した.これらの成果により,次年度に予定されている保持器ずれの防止方法の検討が可能となっている.以上の理由から,研究目標の達成度に関しては,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの成果を踏まえて,保持器ずれ防止策の1 つであるディンプルとスタッドローラを用いたクロスローラガイドを対象とし,ディンプルとスタッドの損傷なく保持器ずれが防止できる方法を検討する.つぎに,ディンプルとスタッドの間の接触力をマルチボディ解析で明らかにする.そして,保持器ずれを防止し,ディンプルとスタッドの損傷 が生じないクロスローラガイドの形状を提案する.
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