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2014 年度 実施状況報告書

不規則な遅れを伴う通信回線を介したバイラテラル制御による遠隔制御システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 25420184
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

澤田 祐一  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (80273548)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード不規則遅れ時間 / 通信路 / 確率システム / カルマンフィルタ / 対数正規分布
研究実績の概要

本研究は,対数正規分を持つと仮定したランダムな通信遅れ時間を有する通信路を介して平成25年度の成果である,観測システムにおけるランダム遅れ項をテーラー展開により加法的観測雑音項として書き換える手法をさらに発展させ,対数正規分布を持つランダム遅れの平均遅れ時間とその平均遅れ時間周りの対数正規分布に分けて通信路とシステムのモデルを標記することを試みた.これにより,ランダム遅れ時間過程をテーラー展開して加法的観測雑音に書き換える手法を適用することで,平均遅れ時間周りで展開することが可能となった.厳密には,観測雑音はバイリニアの形で加法的に印加される.
本手法によっても観測モデルが非線形性を持つようになるため,状態推定を行う際には非線形システムに対する推定器を用いる必要があるため,unscented Kalman フィルタ(UKF)に基づく状態推定器を設計し,その性能を評価した.バイリニアの形で加法的に印加される観測雑音項を単に観測雑音項とみなし,UKFを適用し,数値シミュレーションでその性能を評価した.結果は,非常に良く推定ができており,UKFによりバイリニアでかつ対数正規分布を持つ観測雑音を伴うシステムにおいて,UKFによる状態推定が有効であることが明らかとなった.また,その際に推定される状態は,平均遅れ時間だけ過去の状態となる.
単にランダム遅れによる雑音の影響を低減させるために状態推定を行う場合には,推定結果がどの時刻における真の状態に最も近いのか不明確であるが,本手法を用いた場合では,ランダム遅れプロセスの平均値である平均遅れ時間だけ遅れた時刻の状態を推定することが保障される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ランダム遅れを伴う通信路を介したシステムの状態推定については,平成25年度,平成26年度の拡張カルマンフィルタ,unscented カルマンフィルタを用いたもので基本的に達成できた.また,ランダム遅れプロセスの平均遅れ時間および分散パラメータの推定については,疑似観測システムを導入することで実現できるのではないかとの仮説の下で,現在理論構築を進めている.既に構築したランダム遅れを伴う通信路を介したシステムの状態推定器を用いたバイラテラル制御に関する理論構築については,大きく遅れてが出ているところである.

今後の研究の推進方策

平成25年度に引き続き26年度においても,他の業務との時間調整が十分にできず研究に遅れが生じてしまった.特に,バイラテラル制御に関する研究が大きく遅れている.当初の予定では,非線形システムを対象に,昨年度および一昨年度に得られた研究成果である状態推定器を導入したバイラテラル制御系を構築する予定であったが,残り時間が限られているため,線形システムを制御対象としバイラテラル制御系を構築し,ランダム通信遅れを伴う通信路を介した研究に置き換えて研究を進めて行くこととする.

次年度使用額が生じた理由

予算計上していた国際会議への参加が,研究の遅れと,家族に関わる個人的事情により見送らざるを得なかったため,その予算分が残った.また,使用していた1リンクマスタースレーブアームの実験装置が原因不明の動作不良を起こしており,実験自体の遅れも重なった.

次年度使用額の使用計画

今期の学会発表の旅費および本研究に関わる実験設備の整備に充当する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 不規則な時間遅れを伴う観測システムを通したシステムの状態推定2015

    • 著者名/発表者名
      澤田祐一
    • 学会等名
      第2回制御部門マルチシンポジウム
    • 発表場所
      東京電機大学
    • 年月日
      2015-03-04 – 2015-03-07

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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