研究実績の概要 |
本研究では,テンセグリティ構造体の系統的かつ大域的な(統一的な)最適構造設計のための解析・設計理論の確立を目指し,特に,自由曲面形成のための汎用基本ユニットの開発,ならびに,最適構造決定のための可変構造モデルに基づくシステム解析・設計法について検討している. 本年度,自由曲面形成のための汎用基本ユニットの開発に関しては,円柱型テンセグリティの結合パターンを規範としたテンセグリティシートに対し,昨年度に主に検討した,シートの4辺の中の一対の辺のみを結合した境界条件の場合(円柱など)に加え,4辺の二対とも結合した境界条件(円環など)の場合についても,任意の要素数や任意の形状(曲率など)を指定可能な計算アルゴリズムの導出を行った.また,曲面の生成に加えて,板状の構造物を形成するための汎用基本ユニットについても検討し,テンセグリティプリズムを基本要素とした繰り返し構造物の生成方法について,その基礎的な検討を行った. また,可変構造モデルに基づく解析・設計法の開発に関しては,要素位置と結合関係の情報を異なる行列の要素内に配置した,分離表現と呼ばれる数学表現を用い,上記テンセグリティシートから構成される外郭構造物やテンセグリティプリズムを基本要素とした板状構造物について,最小質量設計,ならびに,動力学解析などを行い,その有効性を確認した.また,上記数学表現の他分野への応用として,自己釣り合い力(平衡状態における内力)を有するマルチエージェントシステムの制御設計への展開を行い,その有用性を確認した.また,上記動力学解析より,繰り返し構造を有するテンセグリティ構造体の振動問題に着目し,波の進行に基づく振動抑制法である波動解析・波動制御法の適用の可能性についても検討した.
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