研究課題/領域番号 |
25420195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藪野 浩司 筑波大学, システム情報系, 教授 (60241791)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 質量計 / カンチレバー / モード連成 / 自励振動 / マイクロカンチレバー |
研究概要 |
連成する2つのカンチレバーのモードの変化から、微小質量を測定する方法は広く知られているが、実際にモードの変化をどのように測定するかが、大きな課題になっている。特に粘性環境中では、共振ピークの比からモードを測定することはできず、新たな方法の出現が期待されてきた。 本年度は自励振動を利用することで、測定環境を選ばずモードを測定可能であることを理論的に明らかにし、マクロビームによる実験によってその有効性を確認した。 一方の梁の変位の積分値をフィードバックして、ピエゾアクチュエータを駆動する。この時積層型のピエゾアクチュエータを用いることにより、変位のフィードバックによって、等価的に速度に比例した力がカンチレバーに加わり自励振動を発生できる。すなわち、本年度の成果の一つは、ノイズに弱い微分フィードバックを使わずに、自励発振可能な方法を提案したことである。 また、このようなフィードバック下では、複数存在するモードのどのモードで発振するかは一般に明らかではないが、理論解析により最低時のモードが自励発振することを明らかにした。本手法に基づいた質量測定を連成するマクロカンチレバーで行い、従来の強制加振と共振ピークを利用した方法に比べて、測定精度が格段に向上することを実験的に明らかにした。 さらに本手法をマイクロカンチレバーに適用し、アトグラムオーダーの質量を測定可能にするための試作実験装置の製作に取り掛かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた、自励振動を用いた新たな質量測定法を理論的に提案できたことにくわえて、その妥当性をマクロモデルで実証できたこと。
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今後の研究の推進方策 |
マクロモデルで実証できた、新たな質量測定法を実際に微小質量計測に用いるため、連成マイクロカンチレバーに適用する必要がある。したがって連成マイクロカンチレバーおよびその駆動装置を製作し(平成25年度に製作を開始した)、さらに測定系として光学をもちいた新たなシステムを構築していく。完成した測定系を使って今後、アドグラムオーダーの質量計測に挑戦していく。
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