研究実績の概要 |
本研究の主な目的は,発電素子であるPZT素子を積層化して高出力化するための開発手法を確立すると共に,実際の振動する機械設備にこの積層PZT素子を取り付けて温度センサーや加速度センサーおよびデータ送信デバイスを駆動し,外部電源不要でケール不要のセンサシステムの可能性を検証することである.この研究目的に関する研究は,平成27年度までの3年間で完了し,平成27年度の経過報告書としてその成果を全て報告済みである. 平成28年度は,本研究で行って来た成果の一部を研究論文として纏め,日本設計工学会に投稿し,その査読に対する対応を行った.その結果,日本設計工学会誌平成28年7月号に掲載された.本論文は,PZT素子を積層化することで高出力の振動発電が行えること,および,PZT素子の積層数,作用する動荷重および動荷重の振動数が積層PZT素子の発電特性に及ぼす影響を実験的に評価した結果について纏めたものである.さらに,平成27年度に行った研究成果(平成27年度研究経過報告で報告)を日本機械学会の Dynamics and Design Conference 2015 (D&D2017)にて口頭発表を行った.この発表内容は,積層PZT素子を振動発電により電源として用いて温度センサーを含む無線送信モジュール駆動して,温度データを無線で送受信した結果について報告したものである.以上の研究から,積層PZT素子を電源として用いることにより,センサで把握した構造物の状態を外部電源不要かつ信号ケーブル不要のモニタリングシステムとして適用可能であることを示すことができた.
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