研究課題/領域番号 |
25420199
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
石原 国彦 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (30380108)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ボイラ / 熱交換器 / 空力自励音 / 気柱共鳴 / バッフル板 / 穴開き板 / 音響減衰 / カルマン渦 |
研究実績の概要 |
ボイラ,ガス加熱器などの熱交換器では,ガスが通るダクトの内部に管群が設置されている箇所があり,この部分で熱交換が行われる.このときに空力自励音と呼ばれる非常に大きな騒音が発生することがある. これは,管群部をガスが通る際に発生するカルマン渦の脱落周波数とダクトの気柱共鳴周波数が近接したとき,周囲の音場が強く励振されダクト幅方法の共鳴周波数に一致した周波数を有する強い渦が発生し,それにより音場がさらに励振されるという自励的メカニズムが原因である.これにはバッフル板と呼ばれる仕切り板をダクト内部に挿入する対策、ダクトの両側面にゴム板を装着する対策などがあるが実用的見地からは前者は挿入箇所の選定、後者は熱に弱いことや耐久性に難点があるなど課題が残った.そこで本研究ではダクトの両側面に穴あき板を装着することを考案した.試しに実験をしてみたところ,穴あき板の装着により自励音の抑制が確認できた.そこで,この穴あき板の開口率φをパラメータとしてφの値の変化がダクト内の自励音にどのような影響を与えるかを実験により明らかにした.その結果、以下の知見が得られた. (1)穴あき板をダクト内側壁に空気層を持って装着することは空力自励音の抑制に非常に効果がある.開口率が1%~32%で実験したがすべての開口率で効果が確認できた. (2)ただしその抑制効果は開口率に影響され,開口率が1%~8%では同程度の抑制効果であるが8%以上では開口率が大きくなるほど抑制効果が大きくなる. (3)開口率とダクト内音場の音響減衰とは関連性があり,開口率が8%以上になると音響減衰比も急激に大きくなる.これは結論(2)で述べた抑制効果と対応しており,穴あきによる自励音抑制効果は音響減衰の増大によるものと考えられる. この成果をASME PVP Conference2015で発表した。また機械学会論文集に投稿準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度は実験装置の作成も完了し、前年度に実施した穴あき板の大音響騒音抑制効果が得られることを確認したので、今年度は系統的に実験を行い、データ収集に努めた。そして妥当なデータが得られた。したがって達成度としては順調と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
実験も順調に進んでいるが、穴あき壁の外側に設けた空洞部分の容積が騒音抑制効果に影響しないかを確認する必要が生じた。そこで今後は空洞部の容積を種々変えて音圧レベルと音響減衰比を測定し、空洞部容積と騒音抑制効果の関係を明らかにする。それが終了したあと、論文にまとめ、国際会議で発表するとともに、機械学会論文集に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
穴開き板の製作を大学の実験実習費から支出したため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議発表の参加登録費に使用する計画である。
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