研究実績の概要 |
弾性表面波(SAW)アクチュエーターから発生されるレイリー波の伝播領域や振幅を観測するため、ホログラフィック干渉系を用いた観測システムの構築を行ったが、レーザーパワー等が不足し、期待通りのホログラムが得られなかった。そこで、昨年度に引き続き、微小粉体をマーカーとしてSAWの伝搬領域の観測を行った。ちなみに、この微粉マーカーによる測定においては、SAWの振幅は微粉マーカーの移動速度と関係がある。 具体的に今年度は、粉体の輸送経路を工夫した新規の高精度SAWフィーダーのSAWの伝搬領域を調べた。このSAWフィーダーは1つ櫛歯電極IDT(ピッチ400μm, 幅5mm, 対数20)と2つの三角形状の誘導パターン(傾斜角5度, 長さ35mm, 端部の壁間距離300μm)で構成されてる。これらは1μm厚のAl膜製で、LiNbO3(128度y回転x伝播)基板上に一回の露光プロセスで同時に製作した。このSAWフィーダー上に微粉マーカー(無水化タングステン)を均一に振り掛け、SAW伝搬経路の確認を行った。その結果、誘導パターン上では微粉マーカーの移動は観測できず、IDTから発生したSAWが誘導パターンにより伝搬経路が狭まることがわかった。このことから、薄膜パターンによりSAW伝搬路を制御できることが明らかになった。 今後、薄膜上におけるSAWの波動特性を系統的に調べる。そして、得られた一連の結果から粉体輸送モデルを検討し、シミュレーション解析を行って実測値と比較する。
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