研究課題/領域番号 |
25420208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
松田 健一 茨城大学, 工学部, 准教授 (30302326)
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研究分担者 |
近藤 良 茨城大学, 工学部, 教授 (90186867)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 磁気軸受 / 5軸制御セルフベアリングモータ / 人工心臓 |
研究概要 |
人工心臓ポンプの長期使用が避けられない現状において、アクチュエータであるセルフベアリングモータの性能や信頼性の向上は最重要課題である。本研究では、小型化のため一つのアクチュエータで両心を独立に駆動可能な両心補助人工心臓を開発する。左心、右心の流量を同時に増減する場合、ポンプの回転数を増減させればよいが、別々に調整する必要がある場合、ポンプを連結したシャフトを軸方向の移動させ、ポンプ壁とインペラの空隙の2 次流れを増減させることで流量を調整する。したがって、開発するモータは、軸方向のサーボ機能を有する必要があるため、軸方向制御に新方式のアキシャル磁気軸受を導入し、ホモポーラモータの中央部に一体化して配置する構造を採用した。ポンプは、左心13,300Pa (100mmHg)、右心2,660Pa(20mmHg)の吐出圧力と、定常的に5L/min という流量を確保する必要があり、ポンプ効率を考慮し40mN・m のモータトルク、および安全性を考慮し自重の5倍の加速度に耐えられる制御力を目標値とし、有限要素法ソフトANSYS を用いた3次元磁場解析を行った。 解析では、バイアス用永久磁石とバイアス磁束経路の検討、必要モータトルク発生のための突極数やステータ形状の検討、必要径方向力、軸方向力発生のためのロータ・ステータの形状について詳細な検討を行った。その結果、巻線スペースを十分に確保するため1号機ではステータ外径を100mmとしたが、モータの全体幅は2ロータとアキシャル制御コアを入れても24.7mmと非常に薄型であり、小型・高性能5軸制御両心補助セルフベアリングモータの開発が十分に可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、軸方向制御に新方式のアキシャル磁気軸受をホモポーラモータの中央部に一体化して配置することで、小型でより信頼性の高い両心補助人工心臓を実現することを目的としており、これまでの予定としては、5軸制御両心補助セルフベアリングモータの基本設計および実験装置の製作・組み上げにある。 目標値として設定した性能を達成させるため、有限要素法ソフトANSYSを用いた3次元磁場解析により、バイアス用永久磁石とバイアス磁束経路、必要モータトルク発生のための突極数やステータ形状、必要径方向力、軸方向力発生のためのロータ・ステータの形状などについて詳細な検討を行った。これらの解析結果に基づき、セルフベアリングモータ試作1号機の基本設計を行い、モータ部材や関連する装置部品を発注するとともに、回転トルクや浮上制御などモータ駆動に必要なモータ巻線を製作し実験装置の組み上げを行った。 以上のことから、予定通りの進行状況と言える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、製作した5軸制御両心補助セルフベアリングモータの性能試験を行う。その試験結果について評価するとともに、特性改善の工夫を加え、より小型の2号機を設計制作する。さらに、 制御系設計についても分担者と検討し、これらの改善を加えた2号機により、安定性・信頼性およびモータ性能などを総合評価し、両心補助人工心臓用として長期使用可能な5軸制御セルフベアリングモータを実現させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた物品について、安価に購入できたため端数が生じた。 平成26年度支払い請求額とともに、当初の予定通り使用する。
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