研究実績の概要 |
人工心臓ポンプの長期使用が避けられない現状において、アクチュエータであるセルフベアリングモータの性能や信頼性の向上は最重要課題である。本研究では、小型化のため一つのアクチュエータで両心を独立に駆動可能な両心補助人工心臓を開発する。左心、右心の流量を独立に増減する場合、ポンプの回転数を増減に加え、ポンプを連結したシャフトを軸方向の移動させ流量を調整する。したがって、開発するモータは、軸方向のサーボ機能を有する必要があるため、軸方向制御に新方式のアキシャル磁気軸受を導入し、これまで配置できなかったホモポーラモータの中央部に一体化して配置することで、小型化と5軸制御の高性能化を実現する構造となっている。 ポンプは、左心13,300Pa(100mmHg)、右心2,660Pa(20mmHg)の吐出圧力と、定常的に5L/minという流量を確保する必要があり、ポンプ効率を考慮して、40mN・mのモータトルク、および安全性を考慮し自重の5倍、5Gの加速度に耐えられる制御力を目標値とし、有限要素法ソフトANSYSを用いた3次元磁場解析により、1号機製作し実験を行った。その結果、軸方向と径方向の制御力に相互干渉が生じることが分かった。そこで、2つの永久磁石を配置し干渉を生じない新しいロータ構造を提案し装置の製作を行った。 新たに提案した実験装置は、静磁場解析の結果、径方向は起磁力160Aturnで、軸方向制御は100Aturnで、回転制御は90Aturnで目標性能を達成できることを確認した。本モータを用いた特性実験の結果、回転速度3000rpmでモータ効率が35%であった。最終年度は、浮上制御試験を継続中であるが、モータ効率の改善が大きな課題であることから、現在の方式より3倍のトルク特性改善が可能な、ホモポーラ・コンシクエント統合型構造を提案した。
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