研究課題/領域番号 |
25420210
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
尾崎 功一 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60282381)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 移動ロボット / 自律走行 / 磁気ナビゲーション / 磁気マップ / 地磁気 / モビリティロボット実験特区 / つくばチャレンジ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1)磁気ナビゲーション法の実装技術の開発,(2)磁気マップの共有化手法の開発,(3)磁気マップの自動作成法の開発である.平成26年度の実績としては,昨年度に引き続き(1)を重視しながら(2)および(3)について着手した.本研究の流れとしては「つくば実験特区」および「つくばチャレンジ」を題材にしており,この2つの流れで概要を述べる. ①つくば実験特区向け搭乗型ロボットによる実証試験:ナンバー登録にともない当年4月から原則月1回の頻度で実験を実施した.当年前半は,ハードウエアの安全性検証(特区で求められた課題)を行いながら,磁気経路登録および磁気ナビゲーション法による自律走行実験を実施した.この結果,安全かつ安定に走行できることを確認した.後半に入っては,レーザ測域センサを用いたSLAMによる幾何マップを作成しながら,そのマップ上に磁気情報を配置する方法を試行的に行った. ②つくばチャレンジによる磁気ナビゲーションの実装技術の向上と地図共有化試験:当年においては評価用のロボットを1台新たに開発し,部品配置等の構成の異る2台のロボットを用いて,つくばチャレンジの課題に取り組んだ.地図情報共有化については,あるロボットで磁気経路を記録し,別のロボットでこの磁気経路情報に基づいて走行させるなどの磁気経路の共有化を試したが,完全な共有化には至らなかった.その理由は経路情報がトポロジ構成で記録されているためで,例えば方向制御での回転速度の違いが位置誤差となる場合がある.もちろん,磁気ランドマークが見つかれば位置修正は可能であるが,経路上(1次元の探索)の情報だけでは十分な位置推定を行うことはできない.ただし,磁気情報の共有化については,磁気センサの配置基準,例えば制御PCから磁気センサをある程度隔離して設置するなどの基準を設けることで共有化が可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,(1)磁気ナビゲーション法の実装技術の開発,(2)磁気マップの共有化手法の開発,(3)磁気マップの自動作成法の開発である. (1)についてはほぼ達成できたと言える.つくばチャレンジ2014においても課題達成を果たしており,その点でも十分な実装技術が積み上がったといえる. (2)についてはセンサの配置方法に基準を設定することで磁気情報の共有化が可能であることがわかった. (3)については,今後の課題である. なお,(1)~(2)の成果については,査読付き論文4編,査読付き国際会議論文1編を発表した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はまとめの年と位置付け,以下を研究推進の方策とする. (1)磁気ナビゲーション法の実装に関しては,現在保有のロボットでは高いレベルで安定して自律走行するレベルまでに完成したと判断できる.平成27年度においては,オープンキャンパスでの実演など,いろいろな機会にロボットを自律走行させ,その際の安定性やトラブルが発生した際の状況調査を行う.これによって磁気ナビゲーション方法のロバスト性を実験的に解析できる. (2)磁気マップの自動作成法についてはSLAM(Simultaneous Localization And Mapping: 移動しながらの位置認識と地図作成法)の実装が一つの課題となる.磁気マップが広く利用されるには,幾何マップ上に磁気情報が配置された表現形式が望ましいと考えている.したがって,正確な幾何マップを得るためにもSLAMの実装を欠かすことはできない.簡易的な手法であってもSLAMを実装し,磁気マップの自動作成法を開発する.そして,磁気マップによって移動ロボットがどの程度ロバストに自律走行を達成できるか,その有用性を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定のロボティクス分野で権威のある国際会議発表論文(採択率30%程度)に採択されなかったため,その分が繰越となった.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度こそは,その論文への採択を目指し,論文の掲載料および旅費として使用する.
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