研究課題/領域番号 |
25420214
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 玄 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70395135)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 化学合成繊維 / ロボット / ワイヤ / 駆動機構 |
研究概要 |
本研究では高強度化学合成繊維を用いた駆動機構の基礎的諸特性の解明と,これを用いた 駆動メカニズムを圃場モニタリング用六脚一腕作業移動型ロボットに適用することである.25年度は以下の基礎的特性試験を行った. 1)固定プーリ径(D)とワイヤ径(d)の比率(D/d)と破断強度の関係を実験的に明らかにした.d=2mmを基準としてD=6-100mmのプーリに巻きかけ,引張試験を行うことで強度低下を計測した.その結果,化学合成繊維であってもステンレスと同様にD/dが小さくなると強度低下が見られることを明らかにした.またこれにより強度低下が起こらない最小のDを求めることが可能となった.2)ワイヤ端部固定法を検討した.具体的には溝付きプーリに複数回巻きかけることでくさび効果を利用した摩擦力により固定する方法を検討し,最適な形状を実験的に導出した.3)耐久性試験のための実験装置の基礎設計を行った. また駆動系の実際の適用例として当初27年度に行う予定であった六脚一腕作業移動型ロボットの試作を前倒しして行った.特に腕部関節には上記基礎試験で得られた知見に基づき設計を行い,良好な駆動力伝達特性を確認した. さらに本駆動系の適用例として新たに,小型軽量四脚歩行ロボット,原子力災害対策用超冗長多関節アームについても検討することとし,これらの試作を行いロボットシステムとして駆動可能であることを確かめた.現段階では搭載されている駆動系は原理試作の域であり,固定法や耐久性などは最適化されていないが,基礎検討と応用を平行して進めることがより効率的と判断し,ロボットシステムの開発も前倒しして実施した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度では当初計画では(1)固定プーリ径とワイヤ系の比率(D/d)と破断強度の関係(2)受動プーリの数と直径が張力伝達の効率に及ぼす影響(3)強度低下や弛みを起こさないワイヤ端部固定法の開発の3つの基礎検討課題,ならびに(4)耐久性試験機の製作の4つを予定していた.このうち,(1)(3)についてはほぼ予定通り,(4)は基礎設計が終了している.(2)はほぼ未検討であるが,これはロボットシステムの構築の優先順位を上げたためであり,その分,3つのロボットシステムを稼働させることが出来ており,順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
当初は基礎的検討を行った後,最終年度で実システムでの評価試験を行う予定であった.しかしながら,実システムに導入した際に新たに明らかにすべき諸特性が判明することも十分にあり得る.従って,基礎的特性の解明と並行して,実システムへの導入を行うことに計画を変更する. 26年度では,繰り返し動作試験機を完成させ,高剛性化学繊維の駆動系としての耐久性を従来の金属製ワイヤと比較しつつ評価する.また強度低下などをもたらす要因を材料力学・トライボロジーなどの知見から理論的に検討する. さらに既に構築したロボットシステムにより実システムとして運用した際の問題点などについて具体的に検証を進めていく.
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度に計上していた耐久性試験実験機の製作を一部26年度に繰り越したため.(なお,新たに追加した実証試験用の2つのロボットシステムは基本的な機構部は既に別予算から製作されていたため新たな支出は軽微である.) 当初25年度に製作予定であった耐久性試験機を26年度に完成させるために使用する予定である.
|