研究課題/領域番号 |
25420219
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐々木 大輔 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50372686)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 人間機械システム / パワーアシストロボット |
研究概要 |
重装備着用時などの身体への負担の軽減を目的としたパワーアシスト装置を開発した.開発した装置は,布などの弾性材料と空気圧ソフトアクチュエータを用いた衣服状の装置であり,軽量かつ使用者の動作を阻害しない構造である.また,空気圧ソフトアクチュエータの内圧を調整することで,支援力を能動的に変えることが可能である.膝関節,背中部の空気圧ソフトアクチュエータの膨張力を,非伸縮布材料を介して身体に伝えることで伸展トルクを発生させる構造で膝関節,股関節(腰関節)の伸展方向の能動的な支援力を得ることを想定している. 本年度は中腰動作等における非伸縮性材料の取り付け角度,取り付け位置の最適値などウェアを設計するための股関節部のモデル化を行った.構築されたモデルから膝関節の屈曲角度をパラメータとし,非伸縮性材料の取り付け位置と発生トルクの関係を求めた結果,今年度作成したウェアの膝関節部用非伸縮性材料の取り付け初期角度は45[°],取り付け位置は膝関節の中心から上下150[mm]とした. ウェアの支援力を検証するために,モデルに基づき制作したマネキンにソフトアクチュエータ,ナイロンバンドを取り付け発生トルクを測定した.モデルより求まる理論値と測定値の結果を比較した結果,測定値が理論値の60-80[%]となっていることを確認した.この誤差はバンドのズレやゆるみなどモデルで考慮していない要因による力の伝達損失が原因と考えられる.しかし,ある一定角度までは膝関節屈曲角度の増加に伴い発生トルクは増加し,それ以降の角度ではトルクが飽和する発生トルクの特性の傾向は一致しており,構築したモデルは設計に有効であることも併せて確認できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では下肢のパワーアシストのみを想定していたが,体幹部を含めた全体のシステムを構築できた.そして構築したパワーアシストウェアの未装着時と比較し脊柱起立筋および外側広筋の筋活動量の低減したことから,当初の想定を上回る支援性能を有する機構の構築ができた.なお,この実験は22歳の健常成人男性1名(身長 175[cm],体重60[kg])を被験者として重さ20 [kg] のおもり入れたリュックサックを被験者の胸側に取り付けた状態で中腰姿勢を保持する実験である.以上が達成度を上記のように自己評価した理由である.
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者らは空気圧供給システムの開発を行ったがエネルギーマッチングが構築されていなかったため,要求性能に対して過大な性能を有しかつ携帯するには重量の大きいシステムとなっていた.そこで本年度は開発したパワーアシストウェアを自立的に使用するための携帯型空気圧供給システムの構築ならびにアクチュエータ,空気圧供給システムのエネルギーマッチングによるシステム設計法の検討を行う. 構築する供給システムでは血圧計などで使用される小型エアポンプおよびエアタンクを使用する.エアタンクはシステム全体の小型化には妨げとなる.しかし,たとえば階段の昇段を例にとるとエアタンクなしでは片脚が身体を持ち上げる瞬間に圧力を供給する必要があるため大出力のエアポンプが必要となる.エアタンクを使用すると一方の脚による次回の昇段までに加圧すればよいためエアタンクなしと比較して小型のエアポンプを使用できる. しかし,従来型の容積が一定のエアタンクでは,アクチュエータへ圧縮空気を供給した時の圧力降下を考慮し,エアポンプには高い吐出圧力性能が求められモータが大型化する.この問題は研究代表者らが開発した容積可変タンクを使用することで解決できる.
|