DMD(Digital Micro Mirror)素子を用いて,モータ等の駆動部を持たない小型・高速・低消費電力のレーザ光走査装置の研究を行うため,DMD素子の開発キットを導入し,これと特殊形状ミラーとを組み合わせたレーザ光走査装置の試作を行った.性能評価を行うための評価システムの構築と評価法についても研究を行い,試作した装置の性能評価を行った. 特殊形状ミラーについては,当初計画していた形状のミラーだけでなく,スリット部を持つアルミ膜を蒸着した長方形プリズム状のミラーについても新たに考案して試作を行った.性能評価を行った結果,いずれの形状のミラーを用いた場合についても,それぞれの特徴を持ったレーザ光走査方式の基本的な機能については確認できた.一方で,装置を構築する際の困難さ,および実際に市販されているDMD素子の状態を原因として生じるDMDと特殊形状ミラーの配置の制限から,予定していた分解能での走査を実現するには至らなかった.そこで,制約となっているDMD素子の状態を正確に計測する手法を構築し,また現実的なシステム校正の手法についての検討を行った.特に研究の最終年度においては,他の研究費で取得した計測機器を用いて,状態の計測とシステム校正を迅速かつ正確に行う方法を開発した. さらに,それらの制約を受けないような異なる形状の特殊形状ミラーについていくつかの新規な提案を行い,最終年度においてはその予備的なシミュレーションによる検証を行っている.
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