研究課題/領域番号 |
25420225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
今井 郷充 日本大学, 理工学部, 教授 (20369953)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 導電性ポリマー / アクチュエータ / MEMS / 熱膨張駆動 / 通電加熱 / 薄膜 / 導電率 / ダイアフラム |
研究概要 |
(1)膜の密着性について 導電性ポリマー溶液を基板:ポリイミド(PI)膜およびPETシート上にスピンコーティングした際の密着性について検討し,密着性に関して大きな問題点がないことを確認した. (2)抵抗特性について PI膜およびPETシート上に膜厚を変えた膜を形成し抵抗値を測定した.導電性ポリマーの抵抗値は膜厚に依存することを確認した. (3)温度および変位特性について 通電による温度上昇と変位,および通電停止後の自然放熱による温度降下および変位を調べた.また従来用いていたアルミニウム(Al膜,t0.1μm)との比較を行った.通電加熱により熱膨張駆動が可能なことが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)導電性ポリマー溶液(ポリチォフェン系, "セプルジーダ"(信越ポリマー))を基板:ポリイミド(PI)膜およびPETシート上にスピンコーティングした際の密着性に関して大きな問題点がないことをSEMによる断面観察により確認した.また,通電槓子した際の明確な劣化等も確認されなかった.したがって表面粗さの最適化は特に必要なかった. (2)抵抗特性について PI膜およびPETシート上に膜厚を変えた膜を形成し抵抗値を測定した.膜厚数10-30μmの範囲(面積12×10 mm2)で100~600Ω程度の電気抵抗値であり,膜厚に依存することを確認した. (3)温度および変位特性について 通電による温度上昇と変位,および通電停止後の自然放熱による温度降下および変位を調べた.導電性ポリマー膜の電気抵抗はAl膜よりも大きいため,同じ電圧(数Vレベル)を与えた場合,発生変位は小さいが,少し大きい電圧をかけることで同レベルの変位を発生させることができた.印加電圧10V以下で温度上昇数10℃レベルの温度上昇が得られ,熱膨張駆動が可能なことが確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)導電性向上策について 導電性の向上が変位発生性能に影響するので,その方法を検討する.エチレングリコール(EG)やジメチルスルホキシド(DMSO)など導電性を向上させる効果が判明している溶液を加え,化学的な向上を図る.次に導電性の銀ナノ粒子や銀ナノワイヤなどを添加し,物理的な向上策も検討する.また,基板であるダイアフラム膜厚を小さくして剛性を低下させることで発生変位を大きくすることや,変位の立ち上がりを素早くする等の動作特性の向上が期待できるので,この場合の特性についても調べる. (2)多様な面形状に対する成膜と応用について 曲面形状のポリマー面など多様な面に応用し,通電加熱による変位特性を調べる. また具体的な応用対象を決める.現在,半球状の高分子ポリマーレンズに塗布し,通電加熱で曲率を変え,焦点可変レンズとする応用を検討している.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定であったものが,在庫切れで購入できず繰り越し金が生じた. 導電性を向上させるためのエチレングリコールやジメチルスルホキシドなどの購入に用いる.
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