研究課題/領域番号 |
25420226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
内木場 文男 日本大学, 理工学部, 教授 (60366557)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロロボット / MEMS / 昆虫型ロボット / ニューラルネットワークス / 人工生物 / 人工筋肉ワイヤー / PZT / 歩行ロボット |
研究概要 |
4mm程度の昆虫をイメージしたニューラルネットワーク搭載無索化マイクロロボットの研究を遂行している。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてマイクロロボットの筐体および機構系を作製することを基本に具体的な開発要素は,①電子回路によるハードウェアニューラルネットワークを適用し、ロボットに搭載が可能になるようにIC化する。②小型電池電源による駆動が可能になるまでアクチュエータの低消費電力化を進め、電池を搭載することで無策化を実現する。とした。テーマの完了時には,分速1m程度の昆虫に近い歩行速度の実現と外部刺激の入力と学習機能の発現による複雑な応答をデモンストレーションするものとする。 テーマを始める以前は,①ハードウェアニューラルネットワーク回路のIC化に関しては、4対のニューロンペアに対応するオペアンプを用いた回路をディスクリート部品で構成し,回路はプリント基板に組み立て、外部回路としてマイクロロボットに接続をしていた。②アクチュエータについては,これまで比較的電力消費の大きな人工筋肉ワイヤーを用いてアクチュエータを形成していた。これらの技術で,6足の昆虫型自走式のロボットが構成されていた。 H25年度は,ニューラルネットワーク基本回路のIC設計と試作を,また積層PZTアクチュエータを開発し低消費電力化を進めた。ハードウェアニューラルネットワーク回路においては,IC設計をへて試作を実施した。ICの試作は外部ファンドリーサービスを利用した。アクチュエータとして,人工筋肉ワイヤーに低消費電力の積層PZT素子を用いたインパクトタイプロータリーアクチュエータを開発した。さらに,これらを筐体に取り付け一体型のロボットの開発に至った。ロボットでの歩行動作にはまだ多少の調整が必要な段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては,研究期間終了時に以下のロボットを開発することを目的とした。4mm程度の昆虫をイメージしたニューラルネットワーク搭載無索化マイクロロボットとする。マイクロロボットの筐体および機構系は従来の機械加工によらず,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてシリコンウェハから作製する。ロボットの制御においてはこれまでのディジタル制御を用いず,より,実際の生物に近いニューラルネットワークを採用する。 具体的には電子回路によるハードウェアを採用し、これをCMOSIC化して小型化を実現してロボットに搭載する。また,小型電池電源による駆動が可能になるまでアクチュエータの低消費電力化を進め、電池を搭載することで無策化を実現する。分速1m程度の昆虫に近い歩行速度の実現を目指す。また,外部刺激の入力と学習機能の発現による複雑な応答をデモンストレーションするまでの高度なロボットを開発する。 以上の目的に対して,平成25年度は,①ハードウェアニューラルネットワーク回路のIC化と②アクチュエータの低消費電力化を重点的に実施して当初の予定をほぼ満たした。①ニューラルネットワーク基本回路については,実際にIC設計と試作を実施してアクチュエータを動作させることができた。これは人工筋肉と積層PZTアクチュエータの両方で成功に至った。②アクチュエータの低消費電力化については,人工筋肉ワイヤーの適正設計による低消費電力化を行い,ある程度の成果が出た。一方で,積層PZTアクチュエータの開発に成功した。低消費電力化に効果があり,200mW以下にすることができた。ただし,電池駆動ができるまでの低消費電力化までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には,ニューラルネットワーク回路について細部にわたって検討する。また,アクチュエータの低消費電力化を小型電池駆動ができるまで進める。これらを組み合わせ,小型電池を搭載し無索化マイクロロボットを実現する。ロボットの全長は電池で制限されるために4mm程度かそれ以上のものをめざす。 また,同時にニューラルネットワークICについては,外部刺激の入力,シナプス荷重の重み付けによる学習機能の発現など高機能化の検討を行う。アクチュエータに関しては,圧電インパクトドライブ型のほかに他の方式で有望なものがあれば検討を進めていく。たとえば,同じく圧電素子を用いたリニアモータ,超音波モータなどが候補として考えられる。ただし,アクチュエータの方式よりニューラルネットワーク回路の変更が求められるので,必要があればIC化もあわせて検討をする。 平成27年度は外部刺激入力およびシナプス荷重重み付けによる学習機能を持つニューラルネットワークICを完成する。このICにおいてはベアチップも製作し,ロボット筐体への直接搭載を行う。ダイボンドテープ等により接着しワイヤーボンドによる電気的導通をとる実装方法のほか,ベアダイの外形を削りだし,フレームとして直接使用する実装方法も検討する。アクチュエータには平成26年度に開発予定のより低消費電力,高速回転の圧電インパクトドライブ型回転アクチュエータの搭載を予定する。 研究を通して得た成果を国際学会等で発表し世界的に評価を仰ぎ研究の妥当性を検証する。また,査読付き国際学術誌に投稿を予定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた部材を平成25年度は減じ,平成26年に当該部材を発注するため 平成26年度中に部材を発注・納入の予定
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