研究課題
本研究では,超音波の放射力を利用した高速応答レンズと,それを応用したマイクロ光デバイスの開発を行った.提案するレンズは,一般的な機械式カメラモジュールの様に焦点合わせの際にレンズ位置を動かすのではなく,人間の眼の水晶体の様にレンズ自身の形状が変化して焦点位置を変化可能な可変焦点レンズである.高速で伝搬する超音波の放射力を利用し,従来技術である機械式と比較して1桁程度速い応答速度が期待できる.高速応答レンズの実現により,これまで撮影困難とされてきた画面奥行き方向に高速移動する弾丸や,顕微鏡視野下での微生物の実時間3次元運動などの観測が可能となる.また本技術を応用したマイクロレンズアレイ,高速光スキャナなどの高速マイクロ光デバイスの開発を行った.最終年度では特に超音波を利用したマイクロレンズアレイおよび光スキャナの開発を行った.レンズアレイに関して,圧電基板上に発生する数10MHz帯域の高周波弾性表面波を利用することにより,数100マイクロメートルオーダのレンズピッチを有する,可変焦点型レンズアレイの実現に成功した.光スキャナに関して,入力信号によって基板の振動モードを制御することにより,1次元的にその位置を制御可能なレンズアレイを開発し,これをスキャナに応用することによりレーザ光走査が可能となった.また液晶材料と超音波を組み合わせた従来にない光制御技術を発案し,超音波の放射力による液晶の配向制御技術について検討した.今後本技術を利用した高速光デバイスの開発を行う予定である.
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Sens. Actuators A, Phys., Vol. , No. 1, pp. (2016)
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