研究課題/領域番号 |
25420230
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
久保田 均 近畿大学, 先端技術総合研究所, 講師 (80551704)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | マダイ / 稚魚選別装置 / Active Appearance Model / MATLAB |
研究実績の概要 |
初年度で製作した新規の実験装置の残課題の対応を実施し、従来の実験装置との間で通信させ、2つの実験装置を統合運用して実験・評価を実施した。本学水産養殖種苗センターにおいては、生魚を使った実験、研究所においては、正常魚、変形魚を冷凍して持ち帰り実験した。①正面反射画像の撮影は生魚では失敗。以降、死魚にて実施したが、口が閉じているのでAAMでは口輪郭は追跡できなかった。②側面透過画像の撮影、特徴量算出は生魚で成功した。③従来のカメラの分解能が低く、ヒレを誤認識する場合があった。④側面透過画像を撮影するカメラと口形状を撮影する新規のカメラが干渉する為、カメラ2台設置は困難であった。⑤口変形は、多種多様の変形パターンがあり正面画像のみでの検出だけではカバーしきれず、側面画像の検出も必要であった。(平成26年4月~8月)
上記の実験結果を受けて、従来のカメラ、実験装置を廃止し、その機能を新規のカメラ、新規の実験装置で吸収する事にした。具体的には、従来の側面の透過画像処理の機能をMATLAB、および、MATLAB IMAGE PROCESSING TOOLBOXを利用して新規の実験装置に実装し、正面反射画像処理の機能は、C++で実装し、MATLAB-C++連携を実現することにより、統合ソフトウエアとして実装した。この新実験装置を用いて、12月、翌年の2月の2回、本学水産養殖種苗センターにおいて生魚を使った実験を実施した。結果としては、①12月の実験では、稚魚の正面反射画像の撮影は成功したが、画像が小さくAAMによる口輪郭の追跡はできなかった。レンズ、接写リングをつける事により、画像は大きくなり、2月の実験では撮影に成功した。②稚魚の口変形は、多種多様の変形パターンがあり、稚魚の口輪郭のAAMのみだけでは、追跡ができなかった。(平成26年9月~平成27年3月)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要で示した通り新規実験装置の課題対応に追われ作業者に関する研究項目は実施できなかった。 実験装置の完成度向上ができた。具体的には、①従来の実験装置のカメラを廃止する事で、カメラが3台から2台に削減。各々のカメラで、稚魚側面の透過画像(側面輪郭画像)、稚魚正面の反射画像の撮影をできるようになり、実験装置とのIFもGigEの一つになりすっきりした形になった。②従来の実験装置を廃止し、その機能を新規の実験装置に吸収する事より、実験装置が1台となり、カメラ同様すっきりした形になった。従来の実験装置の機能はMATLAB、および、MATLAB IMAGE PROCESSING TOOLBOXを利用して新規の実験装置に実装した。また、正面画像の処理などの新規機能は、C++で実装し、MATLAB-C++連携を実現することにより、統合ソフトウエアとして新規実験装置に実装した。以上の様に、新規の実験装置では、従来の実験装置ではできなかった機能の変更、追加が容易に実施できるようになった。 その結果、稚魚側面輪郭形状の計測・検出に関しては、①カメラの分解能向上(30万画素⇒120万画素)、アルゴリズムの改良により、短躯、丸み、背部陥没・腹部陥没、尾部陥没、パグヘッドネス等の変形についてヒレとの誤検出が減少し検出能力が向上した。②しかし、尾柄短縮、特に、上弯症(尾部上がり)に関しては、正常魚の稚魚動作時の尾部形状と変形魚の尾部形状がよく似ており判別は困難である。稚魚正面反射画像の計測・検出に関しては、稚魚の口変形は、多種多様の変形パターンがあり、稚魚の口輪郭のAAM追跡のみだけでは難しく側面輪郭画像での追跡も必要と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度として、新しい実験装置の変形魚に対する検出能力の更なる向上を図る。具体的には、①側面輪郭形状からの変形の検出に関して、尾柄短縮、特に、上弯症(尾部上がり)に関しては、正常魚の稚魚動作時の尾部形状と変形魚の尾部形状が似ており判別が困難である。しかし、作業者では、選別できているので、当該変形魚を生簀に保管してもらい、詳しく作業者より指導頂き、再度、機械判別を試みる。②稚魚の口変形のパターンは、多種多様であり、正面画像からの口輪郭の現在のAAM追跡のみだけでは難しい。種々のAAM追跡の方法でどこまで追跡可能か見極める。また、正面画像のみでなく、対象口の側面輪郭形状からの変形検出も試みる。 実用化に向けたまとめを行う。具体的には、「選別機で実施する事」と「作業者」で実施する事の区分を明確にし、フィールド検証を実施する。その中で作業者の特性と選別機の特性の比較を実施し実用化の目途をつける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張をメール連絡等で済ませることが出来た為、旅費を節約する事が出来た。
|
次年度使用額の使用計画 |
フィールド検証のソフトウエア開発の為に、MATLAB DATA ACQUISITION TOOLBOXを購入予定。
|