前年度までの総括として大きく3つの課題があった。①正面反射画像から顔認証のActive Appearance Model(以降、AAMと呼ぶ)による口の歪み量の取得に関しては、口の歪みが大きいとモデルの収束が非常に悪い。極端な口変形に対しては特に悪い。また、収束時間も1秒弱程度であり能力は低い。②側面シルエット画像から得られた外形形状の特徴量からの良否判別に関しては、変形魚を変形魚とする検出能力が悪い.③どちらも、麻酔済の稚魚を手で検査装置に取り置きする為、その時間もタクトに大きく影響していた。 そこで、最終年度として、当初の研究の狙いである実用化に重点を置き、非常に効果のある検査項目に限り機械化を実施、その他の検査項目に関しては作業者で実施、効果を最大限出すようにする。検査装置に関しては、①良否判別の信頼性の大幅な向上 ②タクトの大幅短縮を目標にした。 今までは、作業者でも判別に迷うような疑似変形も変形に入れていていた為、検査装置の判断ロジックに混乱をきたし信頼性の低下を招いた。そこで、はっきりと判別できる変形魚を対象にして、数を大幅に増やして検証を実施、判定ロジックの信頼性を向上した。また、誤認識の大きい要因は、最初の認識ロジックの段階での稚魚の左/右、正立/倒立の逆認識、及び、ヒレを検出する事による誤認識が多かった。そこで、全てを一律の特徴量検出アルゴリズムではなく、変形の種類、ヒレの検出範囲により数種類のアリゴリズムで対応した。 タクトを短縮するために、MATLABプログラムの高速化を図り、計算時間を約1/3に 1秒/匹程度に処理時間を短縮した。また、手で検査装置に取り置きするのをなくす為、稚魚を取り置きする事なくコンベア上部から撮像できるLEDバックライトベルトコンベアの採用、検査コンベアに稚魚を移送する為の移送パイプ内での炭酸ガス入り海水の循環装置を検討した。
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