利用者の意思に沿って動作するパワーアシストスーツや筋電義手への利用を目的として、計測した筋電図から筋収縮のトリガーとなる活動電位(AP)を推定する方法を検討した。本研究では筋収縮力を詳細に計算できるヒト骨格筋モデルを取り入れリアルタイムに信号処理することを目指した。 マルチスレッドプログラミングを用いて実時間処理という形で行うことができた。実用化を検討する際には、PCよりも小規模な計算機でも処理できるようにモデルの計算を簡略化する必要があることが明らかとなった。推定の正確さを向上させるためのAP推定と筋肉群の分類方法を改善し定量的な評価が必要であることが明らかとなった。 最終年度には、上腕二頭筋の筋収縮状態を非接触に評価するために、LEDを用いた13本のライン光を照射できるスリット光投影機を外部業者に作成を依頼し、最終年度にウェブカメラを用いた画像処理プログラムをOpenCVとPythonをもちいて自作し、ひずみゲージを用いた筋収縮力との相関を評価した。随意収縮の実験から、マルチレーザ光を用いた非接触筋表面高さ変化の定性評価は行うことができたが、定量評価を行うためには、今後治具を用いるなどの簡便なcalibration方法の検討がひつようである。定量評価が可能となることで、骨格筋モデルのパラメータを決定するために必要な、筋肉の低周波での粘弾性測定を非接触に行うことが可能となる可能性がある。さらに、スポーツトレーニングの指導や、筋肉の疲労評価などの分野でも利用が期待できると思われる。この成果は、論文誌(計測自動制御学会 教育工学論文集Vol.40)へ現在投稿中である。
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