本研究は,パワーエレクトロニクス機器で問題となる数百MHzまでのEMI/EMCのシミュレーション精度を向上することを目的として,電力ケーブルの高周波減衰特性の測定法について検討するものである。 平成27年度までの研究により,電力ケーブルの高周波減衰特性の測定法を確立するとともに,単芯電力ケーブル,撚り線電力ケーブル,リッツ線の高周波減衰特性の測定を実施している。その結果 (1) 単芯電力ケーブルの抵抗の周波数特性は,表皮効果から計算した理論値と比較すると1桁程度大きいが,これは単芯同線の表面状態に大きく依存すると考えられる (2) 撚り線電力ケーブルでは導体表面積は増加し表皮効果の影響が軽減されるハスであるのに実際には単芯ケーブルとほとんど変化はないが,これは素線間が絶縁されているためと考えられる (3) リッツ線の場合には単芯や撚り線の場合に比べて改善はするものの期待したほどの効果が得られないのは,リッツ線の素線がランダムに変化しながら配置することができないためと考えられる。 平成28年度においては,これらの理論ならびにシミュレーションによる検討を行うとともに,雑誌論文への投稿準備を行った。
|