• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

圧電単結晶の共振を利用する超小形ACアダプタ実用化のための高効率駆動回路の実現

研究課題

研究課題/領域番号 25420239
研究機関山形大学

研究代表者

広瀬 精二  山形大学, 理工学研究科, 名誉教授 (70007201)

研究分担者 田村 英樹  東北工業大学, 工学部, 准教授 (90396581)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード高効率駆動回路 / 圧電トランス / 圧電単結晶 / スイッチング / ACアダプタ
研究実績の概要

1.圧電単結晶を用いた圧電トランスの改良の検討:ここで扱う圧電トランスは,圧電単結晶LiNbO3の薄い矩形板に励振されるラーメモードと呼ばれる共振振動を用いて電圧の変換を行う。他にも振動が起きるがそれらは不要振動である。26年度は以下の研究を行った。(1)有限要素法解析によって不要振動の分布を明らかにした。(2)圧電トランスに接続される負荷抵抗と不要振動の発生周波数との関係を詳しく検討した。(3)不要振動の性質の比較・検討を行うため,構造と振動パターンの異なる超音波モータのステータ振動子についての検討も行った。(4)共振振動励振のための電極のうち,同電位の電極を結ぶ接続電極を施す改良を加え,支持ピン数を12本から8本に減少させて構造の簡素化をはかった。(5)このとき共振尖鋭度Q≒8000程度の高い値を実験的に達成した。(6)実機応用のときに問題となる音響放射を検討するため,条件がさらに厳しい超音波モータをモデルとして音場特性の解析を行った。
2.圧電トランス駆動用スイッチング回路改良の検討:(1)MOSFETについて,ゲート入力容量の影響を詳しく調べるため,回路シミュレータによる解析と実験により,波形分析,効率測定を行った。(2)MOSFETに加えて高周波トランジスタを用いたスイッチング回路を構成した。(3)高周波トランジスタには,スピードアップコンデンサとショットキーダイオードを併用して効率の向上をはかった。(4)高周波トランジスタのスイッチング駆動波形のduty比の調整などにより効率向上がさらにはかられ,最終的に総合効率86%の高効率が得られた。これにより,FETの他に高周波トランジスタも圧電トランスのスイッチング駆動・回路構成素子として機能することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.圧電単結晶を用いた圧電トランスの改良の進展:(1)圧電トランスに接続される負荷抵抗と不要振動の発生周波数との関係を詳しく検討し,動作点設定の指針を得ることができた。(2)同電位の電極を結ぶ接続電極を施す改良を加え,前年度まで12本必要であった支持ピン数を8本に減少させて構造の簡素化をはかった。電極を加工したにも拘わらず共振尖鋭度Q(共振の良さを表す指標)≒8000程度の高い値を実験的に達成でき,簡易支持構造で高Qという改良が加えられた。(3)条件がさらに厳しい超音波モータをモデルとして音場特性の解析を行った。この結果から,圧電単結晶トランスの実機応用の際に問題となる音響放射の検討が進展する。
2.圧電トランス駆動用スイッチング回路改良の進展:(1)MOSFETについて,回路シミュレータによる解析と実験により,波形分析,効率測定を行い,ゲート入力容量の影響を詳しく調べた。この結果,更に詳しい特性分析が可能となった。(2)MOSFETは端子間容量によってスイッチング特性に高周波限界があるので,さらにスイッチング素子の種類を広げ高周波トランジスタを用いたスイッチング回路を構成した。スピードアップコンデンサとショットキーダイオードを併用し,またスイッチング駆動波形のduty比の調整などにより効率向上が更にはかられ,最終的に総合効率86%の高効率が得られ,FETの他に高周波トランジスタも圧電トランスのスイッチング駆動・回路構成素子として機能することが明らかにされた。

今後の研究の推進方策

これまでの研究進捗状況に基づき,今後は以下のように研究を推進していく。
1.圧電単結晶LiNbO3を用いた圧電トランスの動作特性の検討の継続:圧電トランス本体の特性や支持構造の経時変化も含め,更なる性能向上のため,以下の項目について検討を行う。(1)圧電トランス特性や不要振動が及ぼす影響の経時変化計測。(2)支持構造が及ぼす影響の経時変化計測
2.スイッチング励振回路の比較・評価と更なる効率向上の検討:これまでの研究によって,MOSFETによる高周波数帯でのスイッチング特性ならびに,高周波トランジスタによるスイッチング特性が把握できたので,今後は両者の比較・評価ならびに更なる効率向上の検討を行う。具体的には以下の検討を行っていく。(1)MOSFET,高周波トランジスタ出力端子に挿入するインダクタンス値の算定と挿入インダクタンスのQ値向上による高効率化の検討。(2)倍電圧整流回路などを適切に使用して,圧電トランスと負荷インピーダンスとの整合特性の改善。(3)充電電池を整流回路の平滑回路に組み入れることによる回路の簡素化の検討

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 二つの正方形板屈曲振動子を用いた非接触型超音波モータにおけるエアギャップの音場特性の解析2014

    • 著者名/発表者名
      山吉 康弘, 広瀬 精二
    • 雑誌名

      日本音響学会誌

      巻: 70 ページ: 589,590

    • 査読あり
  • [学会発表] ステータ振動子のスケーリングに伴うスプリアス影響について分散特性を用いた検討2015

    • 著者名/発表者名
      田村 英樹, 高野 剛浩
    • 学会等名
      日本音響学会研究発表会
    • 発表場所
      東京都 中央大学
    • 年月日
      2015-03-16 – 2015-03-18
  • [学会発表] 双円板リンク形超音波モータを駆動する拡張Hブリッジ回路の試作2015

    • 著者名/発表者名
      成田 興平, 田村 英樹, 高野 剛浩
    • 学会等名
      東北地区若手研究者研究発表会
    • 発表場所
      郡山市 日本大学
    • 年月日
      2015-02-28

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi