(25年度の研究実績) 1. 圧電単結晶LiNbO3の薄い矩形板に励振されるラーメモードと呼ばれる機械的な共振を利用して電圧の変換を行う圧電トランスを構成し,トランスとしての電力効率95%以上を達成できることを示した。 2. 最終的にACアダプタを実現するために,パワーMOS FETによるスイッチング回路を構成し,電源インピーダンス低減と外部インダクタンスの調整により電力効率をそれぞれ10%,40%向上できることを示した。 (26年度の研究実績) 1. 有限要素法解析によって不要振動の分布を明らかにし,また同電位の電極を結ぶ接続電極を施す改良を加え,支持ピン数を12本から8本に減少させて構造の簡素化をはかった。このとき共振尖鋭度Q≒8000の高い値を実験的に達成した。 2. MOSFETに加えて高周波トランジスタを用いたスイッチング回路を構成した。ショットキーダイオード併用やスイッチング駆動波形のduty比の調整などにより,最終的に総合効率86%の高効率が得られた。 (27年度(最終年度)の研究実績) 前年度までの研究の結果,LiNbO3を用いる圧電トランスの構成と性能が明らかになり,またこの圧電トランス駆動のためのスイッチング回路の性能ならびに,スイッチング波形が劣化しこれに伴ってスイッチング効率が著しく低下するという課題点が明らかにされた。最終年度は,スイッチング回路のこの課題を解決するために種々工夫を重ね,最終的にMOS FETの前段に抵抗とコンデンサからなる並列回路を2組接続して矩形波駆動波形の分圧回路を構成し,原理的に波形劣化が生じない根本的な方法を考案した。実際に回路を構成し,波形劣化の大幅な改善に成功した。
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