本研究では,パルス電子ビームによる滅菌技術の確立を目指した。まず,イオン衝撃二次電子銃を構築し,発生する電子ビームの各種特性を調べた。特に,照射に伴う吸収線量の絶対値を計測できるシステムを構築した。次に,滅菌実験により,電子ビームの照射周波数を増加させると殺菌効果は向上し,処理時間を大幅に短縮できることを明らかにした。また,電子ビーム照射により生成されるラジカルが,殺菌効果の向上に寄与していることを明らかにした。さらに,細菌表面の観察により,電子ビーム照射による芽胞のコアの損傷が,菌の死滅の原因であることがわかった。以上の結果より,電子ビーム照射が滅菌の有効な手法であることを示した。
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