研究課題/領域番号 |
25420246
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
菅原 晃 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00270934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 風力発電 / 揚水発電 / アルキメデスポンプ / 間欠運転 / 電力安定化 / CO2削減 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,本研究で設定しているサイズの1/200スケールの全長約2mとなるアルキメデスポンプ模擬実験装置を完成させた。一例として,傾斜角22度,回転数30rpmにおいて,約2.0リットル/秒の汲み上げ水量を得た。また,平成25年10月より収集を続けている風況データは,停電や記録装置の不具合で18か月中3週間のデータ欠落があったが,ほぼ順調にデータ蓄積を行うことができ,数値シミュレーションに活用している。 数値シミュレーションにおいては,2MW風力発電機の実測値データを使用し,20×25基の仮想ウインドファームを構成し,ウインドファーム出力の時間変化曲線を作成した。風上検知方式を用いて,予想発電量を下回る前に水力発電を起動させることで,おおよその時間帯において電力不足を解消できた。しかし,予測発電量に近い電力量において緩やかに上下変動をする場合,風上検知法が適用できないことが分かった。そこで,ウインドファーム出力の時間変化曲線をフーリエ変換し,変動周波数の高い範囲についてフィルター除去し,逆フーリエ変換することでデータを平滑化し,且つ,ウインドファーム出力が減少する負の相関を示す領域から予測発電量を下回る時刻を推定することで,水力発電の起動時刻を決定する統計モデル法を提案し解析を行った。詳細については,2015年7月のICEE2015(International Conference on Electrical Engineering 2015)で発表する予定である。これにより,水力発電開始時間に350秒の遅れがあったのに対し,226秒の遅れとなり系統周波数変動を規定以内に収め,その大きさを低減できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルキメデススクリューを含めた模擬実験装置を製作し,実験を開始した。一例として,傾斜角22度,回転数30rpmにおいて,約2.0リットル/秒の汲み上げ水量を得た。装置を改良しデータを蓄積中である。風況データは,最低限必要と考えていた12か月分の収集ができが,一部欠損があった。現在は順調にデータ収集中であり,平成27年10月末まで収集を続ける。数値シミュレーションにおいては,新たに統計モデル法を提案し,風上検知法では解決できなかった電力不足を改善することができた。また,病気治療のため学会発表を見送ったが,平成27年度上期に開催される国際会議ICEE2015での発表を予定している。平成26年度の研究計画がほぼ予定通り終了したため,おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,引き続き模擬実験装置での実験を行い詳細なデータ収集・解析を行う。また,数値シミュレーション結果や風況データをもとに可変速駆動を伴う運転シミュレーションを行い本模擬システムが設定した電力系統へ与える影響について考察する。この結果から,沖縄やんばる海水揚水発電所の設備規模,仕様,建設コスト等を考慮し,大規模風力発電設備と組み合わせた運営方法を提案する。風力発電だけではなく,科研申請後に大量に導入が進んでいる太陽光発電との組み合わせも考慮し,システムの安定化策を検討する。 CO2削減量特性については,現在データ収集を継続している天気予報による3時間ごとの風速予想データと実際の1時間ごとの風速データをもとに石油およびLNG火力の出力割合と運転時間特性を提案し,本システムのCO2削減量特性を求め,年間の削減量を算出する。 これまでの結果の解析と評価,最後に全体のまとめと総合評価を行い,本研究を終了する。
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次年度使用額が生じた理由 |
病気治療のため,一部学会参加を見送った。このため,学会参加費および旅費を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年7月に開催される日中韓の電気学会が主催する国際会議ICEE2015(International Conference on Electrical Engineering 2015,http://www.hkie.org.hk/icee2015/index.htm)に参加予定である。今回は,特に再生可能エネルギーに主題を置くセッションが設けられ,本研究の成果を発表する良い機会である。アブストラクトは受理され,フルペーパーを投稿し,審査結果待ちである。この学会参加費および旅費として支出予定である。
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備考 |
本研究を当該研究分野の研究者および産業界等に広く周知するため,下記講演を行った。 日時:平成27年1月28日(水)18:00-21:00,会場:新潟大学駅南キャンパスときめいと講義室B,演題:「新エネルギーと未来の仕事創り」,主催:新潟県中小企業家同友会
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