研究課題/領域番号 |
25420252
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山村 直紀 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80252310)
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研究分担者 |
石田 宗秋 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70135317)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マトリクスコンバータ / スマートグリッド |
研究実績の概要 |
今年度はマトリクスコンバータを用いた負荷電圧制御および直流送電方式についての検討を行った。 まず,負荷電圧制御については,負荷変動などに対してマトリクスコンバータが一定の電圧を保つよう制御を行う方式についての検討を行った。その中でも特に負荷の急峻な変動に対して負荷のフィルタのリアクトルとコンデンサの間で発生する高周波電流により,負荷に大きな振動電圧が発生したため,これを抑制する新たな制御方式の提案を行った。本方式は負荷に仮想的な抵抗を入れ,リアクトルとコンデンサ間の振動電流をダンピングする方式であり,マトリクスコンバータの制御関数内に直接制御式を入れていることが特長である。なお,この制御により得られた結果の一部を,スペインで行われた国際会議にて,発表を行った。 さらに,前年度確認された電源電流の基本波位相が理論値と異なる原因について考察を行い,その原因がフィルタリアクトルを従来の数分の一にした事により,出力電流リプルが入力電流に変換される際,基本波電流を発生しており,その電流が基本波位相を変化させている事を確認した。また,位相の変化は概ねフィルタリアクトルに依存していることからリアクトルの関数として近似する方式を提案しその有効性をシミュレーションで確認している。 最後に,直流送電方式については,絶縁用変圧器の偏磁によるオフセット電流をマトリクスコンバータで抑制する方式を提案した。本方式で用いられる変圧器の励磁リアクトルは一般の変圧器に比べ小さいため偏磁電流の変化は急峻であるが,本方式によりスイッチング数周期内で偏磁電流が抑制できることをシミュレーションで確認し,その結果を平成26年度電気学会産業応用部門大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は負荷変動などに対してマトリクスコンバータが一定の電圧を保つよう制御を行う方式についての検討を行った。その中でも特に負荷の急峻な変動に対して新たな制御方式の提案を行った。本来は本年度中に系統にこれを連系し,さまざまに負荷や電源電圧変動に対しての特性を検討する予定であったが,入力電流位相が理論値と異なっていると言う問題が確認され,その検討を行っていたため,負荷については低力率および非線形負荷についての特性の確認に留まっている。ただし電源電圧変動については,従来よりシミュレーションである程度の成果は得られているので,全体の計画に対する影響はそれほど大きくないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,模擬スマートグリッド用電力変換器として,高効率かつ大容量のサイリスタを用いたサイクロコンバータ(6kVA,60Hz→10Hz変換)を製作し,模擬電源装置と置き換え,本変換器が系統連系装置として十分利用可能であるかを検討する。また,入力電流が理論値通りにならないという問題に対して,スイッチング方式の再検討を行う予定である。
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